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このタイトルだとどうしても、書きたい場面が2つ出てきてしまいました。
なので無駄に長くなっておりますが、どうぞご勘弁を。
05. 生徒指導室
(before)
あの場所が、きっかけだった。
*
彼女はある意味、常連だ。
勿論それは名誉あるものなどではなく、その逆。
説教をされるための場所から、名指しで呼び出されて。
いつも彼女がしかめっ面をしてるのを、僕は静かに見ていた。
僕の幼馴染のような、見下すような視線ではないつもりだったけれど。
そんな幼馴染が、変わった。
彼女の獅子奮迅の活躍を見たからなのか、別の何かなのか。
僕へ「何とかならないか」と相談してくるなんて事、今までの幼馴染ならば考えられない。
いずれにしても、良い傾向であることは明白。
少なくとも、彼女を助けようという意思を持つなどという事は。
僕の助言に素直に従い、幼馴染は懸命に、彼女の居場所を目指して走る。
級友である彼女を助けたいと、懸命に。
───ならば、僕も。
そろそろ、変わることが、できるのかもしれない。
今なら、彼女へ近づけるのかもしれない。
「……よし」
小さく握り拳を作ってから、集めておいた資料を携えて。
僕は徐に席を立ち、幼馴染の背を追って、歩き始めた。
++++++++++
(after)
そして再び、あの場所へ。
*
初めて6人が集い、踊り、語らい、ついでに喧嘩もして。
5人で仲良く呼び出されたのは、今も鮮明に記憶している。
「僕、転校してきたばかりなのにぃ」
「あら、私だってこんな呼び出し、されたことなんかないわよ!」
「どうせあたいぐらいだよ、呼び出し経験者なんてさぁ」
「まあまあ、何事も経験という事で」
「……こういった経験は必要ですの?」
魅録は何のお咎めもないんだろうなぁ、と悠理がぼやく。
東高の番長だという、彼。
悠理の親友だという言葉が、僕の頭の中で、ぐるぐると渦巻く。
「あたいも魅録みたいに、公立で番とか張ってれば良かったかなぁ」
「……どうして、そこまで思考が飛躍するんですか」
「だってその方が、思いっきり暴れても呼び出しされないで済むじゃんか」
短絡思考の悠理ならではの、意見だろうか。
勿論それには、野梨子や可憐から、鋭い指摘が飛ぶ。
「ここでも公立中学でも、指導される事実には変わりありませんわよ、悠理」
「げ、マジ!?」
「当たり前よぉ!アンタみたいな暴れん坊なら、どこでも一緒だと思うわ」
頭を抱える悠理を見ていて、呆れとも何ともつかぬ溜息を漏らしそうになった。
それにしても、転校して早々に呼び出しとは……。
ただでさえ目立つ外見の美童は、誠に気の毒としか言い様がないと思う。
「日本の学生って、皆、悠理みたいに喧嘩っ早くて怖いの?」
「悠理が特別なの!全く、この子と一緒にしないで欲しいわよ」
「おい、そりゃひでぇよ可憐!ってでもまあ、その通りなんかなあ」
「悠理、それを認めるのはどうかと思いましてよ。今回に限っては、皆同罪ですし」
「そうですよ。それに今更どうこう言っても、仕方ありません。僕が代表で話しますので」
「あ、それがいいわね!清四郎ならきっと口がうまそうだもの、早く解放されるわよ」
僕の申し出に、可憐が手を叩いて賛意を表し、他の面々も安堵の表情。
でも悠理だけは、憮然としたままで。
……やはり、僕に頼りたくなどない、という事なのだろうか?
すると悠理が、僕の傍に近寄って来て、一言。
「……この間もなのに、悪いな、清四郎」
「……気になさらずに」
何気ない悠理の一言で、僕の心は急激に熱を持った。
*
さあ、扉を開けて。
信じてもらえるようになった自分は、胸を張って行きましょうか。
(お題配布元:哀悼花様)
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。