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暇人が開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。漫画『有閑』の会長と運動部部長を推してます。
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ちょっと期間が空いたのかもしれませんが、拍手お礼を入れ替えたので、過去文はこちらへ移動。
…なお今回の拍手お礼は、本当に糖度低めのくだらん拙文ですので、期待はなさらずに。
スミマセン…。

文字通り、斜面の一面を覆う黄色。
風に揺れて、ゆらゆらり。

 

   『向日葵』

 

避暑のためにやって来た北海道で、レンタカーで訪れた、一面の向日葵畑。
縦長の敷地内の奥まで、ずうっと黄色の絨毯が続いて。
夏休み期間とはいえ、平日である分客足もさほどではなく、駐車場へ難なく駐車できた。
……ま、どうせ運転はあたいじゃないから、いいけど。

「うっわぁぁー!」

間近で見た向日葵畑は、やっぱり綺麗で。
あたいは思わず歓声を上げた。
時折吹く風は、東京のそれとは違って、さらりと頬を撫で、髪を掻き混ぜていく。
黙っていても汗ばむような、凶悪な程の熱など微塵も感じない。

「これはまた、見事ですねえ」

周囲の田園風景なんかも眺めつつ、清四郎も得心顔で頷く。
トレードマークのオールバックが、多少風に乱れるのも構わない風情で。
珍しく素直に感動してるっぽい表情が、新鮮。

「やっぱ広さのスケールが違うなあ、北海道って」
「そうですな。ここの向日葵畑だと、大体東京ドーム5個分だそうですよ」
「……いっつも思うんだけどさ、何で東京の人間って、そういう比べ方すんだ?」
「身近なものと比較する事で、より大きさを実感したいからでしょ」

あたいをちろりと横目で見ながら、いつもみたいの呆れ顔で自説を述べる男を見ながら。
(やっぱり、ちょっと意地悪い方が、清四郎らしいのかも……)
と、言ったら怒られそうな事を考えたのは、さすがに黙ってた。

 

 

黄色の絨毯をしばし眺めていると、不意に清四郎から声をかけられた。

「悠理」
「ん、何?」
「この花は、お前に良く似てますね」
「……向日葵が?何で?」

首を傾げるあたいに向かって、清四郎が微笑む。

「向日葵の花言葉は『あなただけを見つめています』と言うんですよ」

だから、と奴は一度言葉を切ってから。
悪戯っぽい笑顔で、普段は絶対に言いそうにもない台詞を吐いた。

「お前はいつも、僕を見ててくれてるから」

「……うぬぼれや……」
「でも、図星でしょ?」

やけに自信ありげに断言する清四郎の顔は、物凄く晴れやかで。
ついでに、物凄く嬉しそうにも見えてしまったので。
否定するのも面倒この上ないし、何より少しだけ可哀想になったのも、事実だから。
あたいは大きく、溜息ひとつ。

「じゃあ、お前も同じだよな?あたいだけ見てるもんな!」

自分だけがこっ恥ずかしいのは癪になって、にやっと笑って言ってみた。
すると。

「ええ、勿論」

……涼しい顔で、さらりと肯定されて。
結局あたいは、自分で自分の首を絞めたような格好になって。
黄色い絨毯も目に入らず、真っ赤になって俯くだけだった。

 

   *

 

太陽を追いかけるように。
大好きなあなたを、追いかけてる。




(掲載期間 2008.8.8~2008.8.17)

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HN:
シスターM
性別:
女性
自己紹介:
国産ヒト型40代、夫・息子1人がいます。徒然なるまま…ではないですが、勢いに任せ、所謂二次創作をちまっと数年続けてます。
当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。
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