[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
…なお今回の拍手お礼は、本当に糖度低めのくだらん拙文ですので、期待はなさらずに。
スミマセン…。
文字通り、斜面の一面を覆う黄色。
風に揺れて、ゆらゆらり。
『向日葵』
避暑のためにやって来た北海道で、レンタカーで訪れた、一面の向日葵畑。
縦長の敷地内の奥まで、ずうっと黄色の絨毯が続いて。
夏休み期間とはいえ、平日である分客足もさほどではなく、駐車場へ難なく駐車できた。
……ま、どうせ運転はあたいじゃないから、いいけど。
「うっわぁぁー!」
間近で見た向日葵畑は、やっぱり綺麗で。
あたいは思わず歓声を上げた。
時折吹く風は、東京のそれとは違って、さらりと頬を撫で、髪を掻き混ぜていく。
黙っていても汗ばむような、凶悪な程の熱など微塵も感じない。
「これはまた、見事ですねえ」
周囲の田園風景なんかも眺めつつ、清四郎も得心顔で頷く。
トレードマークのオールバックが、多少風に乱れるのも構わない風情で。
珍しく素直に感動してるっぽい表情が、新鮮。
「やっぱ広さのスケールが違うなあ、北海道って」
「そうですな。ここの向日葵畑だと、大体東京ドーム5個分だそうですよ」
「……いっつも思うんだけどさ、何で東京の人間って、そういう比べ方すんだ?」
「身近なものと比較する事で、より大きさを実感したいからでしょ」
あたいをちろりと横目で見ながら、いつもみたいの呆れ顔で自説を述べる男を見ながら。
(やっぱり、ちょっと意地悪い方が、清四郎らしいのかも……)
と、言ったら怒られそうな事を考えたのは、さすがに黙ってた。
黄色の絨毯をしばし眺めていると、不意に清四郎から声をかけられた。
「悠理」
「ん、何?」
「この花は、お前に良く似てますね」
「……向日葵が?何で?」
首を傾げるあたいに向かって、清四郎が微笑む。
「向日葵の花言葉は『あなただけを見つめています』と言うんですよ」
だから、と奴は一度言葉を切ってから。
悪戯っぽい笑顔で、普段は絶対に言いそうにもない台詞を吐いた。
「お前はいつも、僕を見ててくれてるから」
「……うぬぼれや……」
「でも、図星でしょ?」
やけに自信ありげに断言する清四郎の顔は、物凄く晴れやかで。
ついでに、物凄く嬉しそうにも見えてしまったので。
否定するのも面倒この上ないし、何より少しだけ可哀想になったのも、事実だから。
あたいは大きく、溜息ひとつ。
「じゃあ、お前も同じだよな?あたいだけ見てるもんな!」
自分だけがこっ恥ずかしいのは癪になって、にやっと笑って言ってみた。
すると。
「ええ、勿論」
……涼しい顔で、さらりと肯定されて。
結局あたいは、自分で自分の首を絞めたような格好になって。
黄色い絨毯も目に入らず、真っ赤になって俯くだけだった。
*
太陽を追いかけるように。
大好きなあなたを、追いかけてる。
(掲載期間 2008.8.8~2008.8.17)
04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。