[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただし原因は清四郎ではありません。
いつか訪れる未来を勝手に空想…私にも似た経験があるもので。
何気に悠理と清四郎が婚約してる裏設定ですが、ラブな雰囲気皆無かも(汗)
避けられないことだった。
だけど。
やっぱり、悲しくなって。
『ばいばい。』
中庭で、ぼんやりと、空を見上げる。
お気に入りの場所、お気に入りのベンチ。
青い空に、白い雲。
ふわふわ、ふわふわ。
雲はだんだん、何かの形を取って。
(……タマと、フクに似てる……)
今はもうここにいない、愛猫たちの面影。
目を閉じて、追いかける。
多満自慢と、富久娘。
別に血統書なんてついてなかったけど、大事に育てた、大事な家族。
やっぱり彼らにも、寿命ってものがあって。
多満自慢、19年。
富久娘、20年。
どちらも自分が、看取った。
猫は死ぬときに姿を隠すと言われるけれど、彼らはどちらも最期まで、一緒にいた。
加齢とともに、運動能力や食欲が衰えて、一日中寝ている事が多くなって。
さすがに鈍いあたいでも、『そのとき』を予感するようになった。
それでも最後まで、一所懸命看病して。
最後は腕の中で、一声鳴いて目を閉じるのを、見送った。
撫でていたあたいの指を、最後の力でぺろりと舐めて。
ゆっくり目を閉じたのも、2匹とも、同じ。
(あれから、どんくらい経ったっけ……)
富久娘を見送ってから、どうも調子が出ない。
ぼんやりと空を見上げ、ぼうっと過ごす事が多いと思う。
夜遊びにも、行きたくない。
「ここにいたんですね、悠理」
かけられた声と、両肩の温もり。
正体は、わかってる。
視線の先には、スーツ姿の見慣れた男が、笑ってた。
「清四郎、何か用?」
「おや、つれないですね。婚約者殿のご機嫌伺いに参上したのですが」
清四郎は、片眉を上げて、冗談めいた口調で告げる。
「……サンキュ」
笑顔を作ってみたけれど、きっと力ないものだったんだろう。
清四郎の表情が、曇ったから。
「少し、痩せましたね」
「そうかな」
「ええ」
清四郎は頷くと、あたいの頭を撫でてくれた。
優しい感触が嬉しくて、目を閉じる。
「すぐに忘れるのは、無理でしょうね」
「………」
「でも悠理、お前があの子たちを大好きだったように、あの子たちもおまえを好きだったはずです」
「………そっか、な」
「ええ、勿論。いつも元気で、輝く笑顔のお前が、ね」
清四郎の静かな声が、耳からじわりと響いてくる。
「だから、そろそろあの子たちを、自由にしてあげませんか」
「自由、に?」
「お前がいつまでもあの子たちを思って泣いていたら、あの子たちはは心配で、天国へ行けませんよ」
目を開けると、清四郎が穏やかに微笑んで、こっちを見てて。
じわり、視界が滲んできた。
そんなあたいの様子をわかりきってる清四郎は、唇で涙をそうっと吸い取ってくれて。
ついでに頬にも、軽くキスして。
どこまでも優しい声で、言った。
「だから、とりあえず泣き止みませんか?」
恐ろしく現実的で、普段絶対『天国』なんて言葉、口にしないはずなのに。
柄にもない事を言って、あたいを慰めてくれるのが、嬉しいから。
「……清四郎」
「何ですか?」
「ありがとな」
今度の笑顔は、合格だったらしい。
清四郎の瞳の色が、穏やかなものになる。
「とりあえず、中に入りましょう。可憐からケーキを貰ってきましたから、食べませんか」
「ん」
あたいはゆっくりと立ち上がると、空をもう一度見上げた。
2匹の猫のように見えた雲は、もう形を変えていた。
*
大事な、大事な、家族たちへ。
ばいばい。
……ばいばい。
もう少ししたら、笑うね。
ウチの子もきっと今頃元気で駆け回ってると思います。
タマもフクも姿はナイけど、これからも悠理の心の中に生き続けていくんですね。
ホントにこちら様の清四郎ってば優しいっ!
私も今、実家にいる猫ズ3匹が共に19歳を迎えまして、新たなお別れに近付きつつあります。
遠く離れた地に住んでいるため、たまにしか会えませんが、猫たちは幸せそうです。
このまま最期まで、幸せでいて欲しいと思います。
>涙で読めません… の方
この度はコメントありがとうございました。
拙文で辛いお気持ちにさせてしまったようで、申し訳ありません。きっと悠理のような、猫思いの優しい飼い主さんでいらっしゃるのですね。
お宅の猫、大切になさってあげて下さいませ。
>りん様
コメントありがとうございました!
拙文で辛いお気持ちにさせてしまい、申し訳ありません。私の猫も心の中では一生駆け回っていますので、タマやフクもきっと同じだと思っています。
拙宅の清四郎は、悠理だけにはひたすら甘く優しく、が基本でございます。
皆様、ありがとうございました。
04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。