[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
最大の問題は…未だに沈む気配がないところでしょうか(汗)周囲も呆れる『可愛い馬鹿夫婦』、参ります。
4 折り返し木曜日
週末は、もう少し。
*
「今日は遅くなりますから、先に寝ていて下さいね」
「ん、わかった。ちゃんと飯食えよな」
「ええ。では、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
微笑む妻の額にキスをひとつ落として、僕は車に乗り込んだ。
バックミラーに映る、手を振り続ける妻の姿が、僕の心を和ませる。
「さて、と」
僕は手持ちのノートパソコンを開き、今日の重役連のスケジュールを確認。
秘書室勤めも長くなったが、どうにもこういう遣り繰りというのは、時に苛々させられる。
会長や会長夫人はまだいいとして、他の取締役連中などは、時に余計な事をしてくれて。
更に、招いてもいない客まで呼んできてしまうのが、厄介だ。
「………おや」
詳細スケジュールを確認していると、どうやら取締役の一人に、面倒な来客の予定。
ある事ない事書き立てる、やくざ紛いのフリージャーナリストとして、その存在は知っていた。
先月新規に興した事業の責任者である取締役から言質でも取り、デマでも流すつもりだろう。
(箒など立てても効果はないし、さて、どうしたものでしょうね)
くだらない迷信を頭に浮かべつつも、僕は即座にメールソフトを起動させ、用件を入力。
即座に秘書室長の義兄へと送りながら、頭の中では色々な対処法の算段を始めた。
結局、広報担当者とも密に連絡調整を行って、それなりに対応を取り。
肩の凝る仕事をひとつ終えた僕は、充実感と同時に疲労感を覚えつつ、帰宅の途についた。
腕時計を見れば、既に午前0時に近い。
当然妻は、自分が朝に指示したとおり、大人しくベッドで寝息を立てていて。
僕は安堵の息をつき、シャワーを浴びてから、ローブ姿でベッドへと近づいた。
(……ただいま、悠理)
声には出さず、代わりに唇への軽いキスを送る。
僕に安心しきってくれているのか、目覚める気配はまるでない。
そうっとベッドへ身を滑らせて、眠る妻の体を抱きかかえ、目を閉じる。
妻の体温を、柔らかさを、香りを、全身で感じ受け止めて。
すると不意に、妻が動いた。
「ん……」
猫のように体を丸め、僕の胸に顔を押し付けると、安堵したような溜息をついて再度の沈黙。
無意識にでも、僕を見つけてくれたのだろうか。
(悠理……)
抱き締める腕に力を込めた。
*
週末に、君と一緒に過ごすため。
あと、もう少し。
《配布元:空飛ぶ青い何か。様》
04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。