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案外ご好評を頂戴しているので、開き直りました(爆)
今日が一応、かろうじて沈み傾向…なはずですが、結局は極甘です。不覚。
5 傷心気味金曜日
君が、どこにもいない。
*
一昨日渡欧した実母に急に呼び出され、妻が慌しく出立したのは、早朝の事らしい。
通常の家庭には有り得ないような場所への当日出発も、ここ剣菱家ならば可能。
大富豪とは、時に世間の非常識をも常識へ変える力を持つ。
それは学生時代の妻との付き合いからも、十二分に承知している。
……だが。
事実を認識するのと、感情面で納得できるのとは、別。
目覚めた時に、腕の中に抱いていた筈の妻がいなかった事実は、予想以上に僕を打ちのめした。
菊正宗清四郎、一生の不覚。
深い溜息をつくけれど、事実は変えようもないのだからと自分を戒め。
身支度を整えてから、朝のメールチェックを行うため、パソコンを起動しようとデスクを見やる。
そこで、妻からのメッセージを発見した。
『清四郎へ。
急に母ちゃんから呼び出されたんで、行ってきます。
大した用事でもなさげだったんで、なるべく早めに戻るね。
……ごめんね。
あんまり無理しないで、ちゃんと夜は休めよ。 悠理』
机上に置いていたメモ用紙に、急いでしたためたのだろう。
妻らしい文面の、慌て気味な筆跡に、心癒される自分。
目を閉じて、深呼吸して、自分の気持ちを静める。
(……いつまでも動揺しているわけにも、いかないですな)
今日も仕事が待っていて、僕は、行かねばならないのだから。
「さて、今日も一日頑張りますよ、悠理」
妻の想いが篭ったメモ用紙を丁寧に折り畳み、いつも持ち歩くカードケースに忍ばせると。
朝食を摂るために、部屋を出た。
*
……大丈夫、ここに貴女はいないけれど。
気持ちは、繋がっているから。
《配布元:空飛ぶ青い何か。 様》
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。