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季節の変わり目にすっかり風邪でダウンしております管理人です、ご無沙汰しております。
拍手コメントへのレスもすっかり停滞しておりますが、全部拝読しております!本当にありがとうございます。
書きかけ…と申しますか、放置プレイとなってしまっている『無自覚シリーズ』は、スローペースではありますが、無事挙式ぐらいまでは続けていきたいと考えておりますので、お付き合いいただける方がおられましたら是非よろしくお願いいたします。
以前に書いて放置していた、意味不明駄文を投下させていただきます。
清四郎一人称で。捏造設定どんとこい、な感じで申し訳ありません(汗)←今更
彼女にとっては煩わしく、僕にとっては退屈極まりない。
されど。
僕にとっての将来を、決定付けた行為。
『二者面談:僕の場合』
高3ともなれば面談なんて型通りで、個々の成績に応じた進学先を、割り振られるのが常。
友人達もそれは例外ではなく、幸い内部進学を断られ……そうな一名の成績も、無事補習でクリア。
そして問題は、自分の件。
「菊正宗君、どうするつもりですか?」
「はあ、そうですね」
「君の成績であれば、国内だけではなく海外の優秀な大学でも、全く問題ないのだがねえ」
進路指導のベテランである教師の熱弁、只今13分を経過。
確かに、自他共に認める努力を重ねて長年主席として君臨し、なおかつ家も裕福な僕にとって。
望めば大抵の大学で学ぶ事が出来るのは、事実であるが。
自分自身、どの方面に進むべきかを今もって決めかねていたのが、厄介だった。
どうせ両親や姉も、僕が大人しく医師の道を目指すとは思っていない様子。
姉貴には「経営者向きだ」と断言されてもいたし、自分でもそう思わなくもない。
かといって、図らずも飛び込んで一度失敗した道を、何の意図もなく再び目指すのも業腹で。
結局自分の発言は、この一言に尽きる。
「先生、もう少々お時間をいただけませんか」
営業スマイルで一声言えば、この場は強制終了。
*
(……やれやれ、これで3度目ですな)
気詰まりな空間から脱出して、思わず伸びをし空を仰ぐと、梅雨の晴れ間の良い天気。
このような上天気の折、何が悲しくて、あんな陰鬱な空間に身をおかねばならぬのか。
「……あれ、清四郎?」
僕に声をかけた主は、目を丸くして此方を見ていた。
「悠理、どうしたんですか?」
「それはこっちの台詞じゃんか。あたいは見ての通り」
笑顔の悠理が両手に抱えていたのは、可愛らしくラッピングを施された菓子。
「差し入れですか」
「そ。今日、1年で調理実習のクラスが多くてさ、大量にゲットしたんだ」
満面の笑みになる悠理の様子に、思わず顔が綻ぶ。
「繁盛していて結構ですな。どれ、半分持ちましょうか」
「助かる!サンキュな」
笑みを深めた悠理に並んで、部室までの廊下を歩いた。
「清四郎は、面談か?」
悠理が珍しく的確な指摘をしてきた事に驚きつつ、肯定する。
「大変だなあ、秀才サマは。あたいなんて、どうせ内部進学しか選択肢なかったけど」
「お前と一緒にしないで下さいよ。でも悠理はどうして進学だったんですか?」
勉強嫌いの筈なのに、と付け足すと、彼女は一瞬眉を顰めて爆弾発言。
「だって、ガッコ出たら即スイスだかでレディー教育だ、って言われてんだもん。まだ日本で大学行っ
てる方がマシじゃんか、皆もいるしさ」
肩を竦めている悠理は、型破りでも暴れん坊でも、大財閥のご令嬢。
不本意なシナリオを周囲に立てられつつも、抵抗せず受け入れている現状は、むしろ当然なのだが。
「それは、変更できないものなんですか?」
「無理無理。まあ昔から言われてるし、あたいも諦めはついてるんだ」
どこか釈然としない思いを抱える僕とは違い、悠理本人はさばさばとした様子で空を見上げて。
「だからさ、清四郎達にはすっごく感謝してんだ、一杯遊んでもらったから。ありがとな」
やたらと爽快に、笑ってみせるものだから。
悠理を見つめていた僕の脳裏に、突如閃いた、妙案。
僕は自分の素晴らしい思いつきに、心から感謝した。
「……悠理」
「ん?」
「僕も、及ばずながら、将来設計が見えましたよ」
「は?」
僕の唐突な発言の真意が読めず、目を白黒させる悠理の頭を撫でながら、微笑んで。
「決めました。僕はずっと、お前の面倒を見る事にします」
「……へ!?ちょい待て、お前、何がどうしたら、いきなりそうなる!?」
「まあまあ。任せておいて下さいね」
「だから待て!おい、人の話を聞けー!」
何故か混乱する悠理を他所に、ひとり新たな決意に燃えた。
*
「さすがは菊正宗君!しかし君でも大変かとは思います、頑張って下さいね」
「はい。全力を尽くします」
後日、4度目の面談で、僕は教師に満面の笑みで宣言し、相手も何やら感慨深げに頷いて。
僕は最後に「よろしくお願いします」と頭を下げ、部屋を出た。
結局進路指導希望票には『ハーバード大学進学希望』と記載。
ビジネスエリートを目指すため、とここまで高く目標を掲げれば、進路指導としても満足だろう。
(これでもう、文句を言われることはありませんね)
意気揚々と廊下を歩く僕には、もう怖いものは何もない。
「……あれ、清四郎?」
以前と同じパターンで声をかけてくる、同じ相手。
「悠理、これから部室ですか?一緒に行きましょうか」
「ん」
鞄を手に提げ歩いていると、不意に悠理が、僕を見上げて話しかけてきた。
「お前さ、何かいい事でもあったんか?こないだよりスッキリしてるぞ」
「おや、わかりますか」
彼女が僕の変化に気づいた事に、驚きとほんの少しの嬉しさが混じる。
すると彼女は首を傾げ、頭をぼりぼりと掻きつつ答えた。
「何でだろ?でも……何となく思った。あんま、うまく言えねーけどさ」
あの万作おじさんに似て勘の鋭い悠理のこと、理屈抜きで直感するものがあるのだろう。
冷静に分析しつつも、自分に関心を寄せてくれている事実に、やはり嬉しさは隠しきれない。
ふと視線を感じて悠理を見ると、彼女は眉間に皺を寄せている。
「清四郎、お前、顔にやけてる……何か怖いぞ」
「心外ですね。僕だって表情が緩む時ぐらいありますよ、人間ですから」
ちろりと横目で悠理を睨みつけるようにして嗜めるが、内心では冷や汗。
(いけませんな、このぐらいで気が緩んでいては……。と、そう言えば)
僕は、今ここで悠理に会ったことで、改めて思い知った。
何より大切な、将来設計に係る重要案件を、どうにかしなければならないという事実に。
部室は目の前。
しかし案件の処理を迅速に行うためには、余計なギャラリーは不要。
(………さて)
僕は歩きながら考えを纏め、ぴたりと足を止める。
「清四郎?どうしたんだよ」
当然僕の行動を不審がって、悠理は子供のように無垢な瞳で、じいっと僕を見つめていて。
僕は彼女に微笑みかけて、何事もなかったかのように尋ねた。
「悠理、この間僕が将来について話していた事、覚えてますか?」
「あ?……あー、お前が勝手に、あたいの面倒見るとか言って、盛り上がってたアレ?」
悠理の明快な回答に、僕は我が意を得たり、と頷いて。
「その件でですね、ちょっとお前に提案がありまして。良かったら、時間をもらえますか」
「へ?別にいーけどさ。お前、部室行かねーの?」
「今日は特別用事もないですからね。さ、僕の家に行きましょうか」
「?………うん」
首を傾げながらも、素直に僕の提案に乗ってくれた悠理と共に、僕は正面玄関へ向かう。
(第一段階は成功ですが、これから悠理を、どう言いくるめればいいもんですかね)
自宅へ向かう間中、僕は最も大事な案件について、真剣に思案していた。
───『悠理の面倒を僕が一生見る事を、悠理に納得させる方法』を。
僕の進路は、明るい希望に満ちている。
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。