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こんにちは、皆様いかがお過ごしでしょうか?
久々にまともにネタが浮かびましたので、駄文を投下してみます。悠理一人称。
甘さを目指してみましたよ。きっと(オイ)
この時期、だからこそ。
『大地の誘惑』
休日の昼下がり、今日も清四郎と膝を突き合わせ、毎度の恒例勉強会。
めずらしくあたいの集中力も長続きして、そこそこ時間も経過した頃。
メイドが控え目に、でもはっきりした声で告げてきた。
「お嬢様、お茶のお支度ができましたよ。休憩されてはいかがですか」
「ん、もうそんな時間?」
「……ああ、本当ですな。気付きませんでしたよ」
あたいはプリントに向けていた顔を上げ、清四郎は左手の腕時計を確認し。
メイドに今行く、と答えてから、2人でほぼ同時に立ち上がった。
テーブルの上は、暖色系の秋の色。
「見事なものですな。南瓜尽くしとは」
「あたい南瓜好きだもん。頼んどいたんだよな、へへ」
パンプキンパイに、南瓜のスコーン、南瓜のムース。
少し濃い目に淹れた紅茶が、南瓜の甘みとベストマッチ。
南瓜クリームのモンブランもあって、パティシエの芸の細かさが嬉しい。
中でも一番目を引くのは、くり抜いた小振りの南瓜に詰め込まれたプリン。
大きめに切り分けてもらって、生クリームをかけてもらったそれを一口。
「……美味い!」
「いつもながら、見事ですねえ。甘さの加減も絶品ですな」
さほど甘いものが得意なわけじゃない清四郎も、食が進んでいて。
気がつけば、あたいには遠く及ばないまでも、結構な量を食べていた。
まあ……あんだけ毎日トレーニングしてるんだし、本来少食でもなんでもないんだから、当然か。
「珍しいな、お前がこんなに菓子食うのって」
「ふむ、確かに。野菜スイーツのせいか、食べても胸焼けしないからでしょうかね」
「そんなもんかねー。あ、そだ、帰りに土産に持ってく?」
あたいが尋ねながら指差したのは、南瓜プリン。
すると清四郎は、にっこり笑って頷いた。
「是非いただきますよ。きっとうちの家族も喜びますから」
おやつの後も勉強は続き、気がつけば清四郎の帰宅時間。
玄関まで見送りに出て、メイドに頼んでおいたプリンを手渡す。
「んじゃな。あ、おっちゃんと、おばちゃんと、和子姉ちゃんにもよろしく」
「ええ。悠理、今度は僕の家で勉強しましょう。親父がお前が来るのを楽しみにしてますからね」
「へ?そうなの」
思わず目を丸くしたあたいに、清四郎は苦笑しながら種明かし。
「……珍しい酒を手に入れたらしくてね。晩酌の相手をしてもらいたいようですよ」
「あはは、なるほど。でも一応あたい未成年なんだけどな、おっちゃん、忘れてない?」
「あの人は、建前と本音を分ける人ですからねえ。まあ、付き合ってやって下さいよ」
そう続けてから、清四郎は、あたいの耳元にそっと顔を近づけて。
ぼそぼそ、と囁いた。
「……!?」
あまりにも予想外な台詞に、思わず声を上げそうになるあたいを、意地悪そうな笑みで見つめ。
清四郎は、あたいの後ろに控えている五代達にも会釈してから、うちの車に乗り込んだ。
そのまま静かに走り去る車の後姿を、見送っているあたいの頬は、確実に赤いはず。
(……馬鹿野郎……)
今頃きっと、車のシートに身を凭せ掛け、思い出し笑いなんぞしてるであろう男に。
心の中で、そっと文句を言ってやった。
*
『次の週末はハロウィンですからね。悪戯も覚悟しておいて下さいよ』
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。