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一部の方々に大変ご期待していただいていたハロウィン創作、昨日までにアップできませんでした。
く、口惜しい…。
一日遅れて本日それっぽい作品を投下。
しかーし!今年は全く色っぽくない話です(爆)
そう簡単に、清四郎にいい思いはさせたくなくて…。期待して下さった方々、申し訳ありません!
人生万事塞翁が馬。
一寸先は闇。
……今更ながら、実感。
『大地の気紛れ』
僕の視界に広がるのは、まさに死屍累々。
*
今年のハロウィンは、仲間達にも告げず、悠理と2人だけで過ごそうと画策していた。
折よく家族は皆用事で家を空けるため、蜜月のようなひと時を過ごせるはずで。
人前で言う事はできないが、彼女をちょっとだけ誘導し、納得させていたのも事実。
自分の計画が上手く捗ったことについて、正に自画自賛していたというのも事実だ。
……ああ。
なのに、それなのに。
「ママの意向でね、今年はハロウィンパーティーを開くのよ。良かったら来てね」
なんて、仲間のひとりが誘ってくれるものだから。
悠理がその単語に即座に反応するのなんて、至極当然の事であったわけで。
「マジで!?絶対行く、行くー!」
「ウフフ、やっぱり悠理はそう言うと思ってたわ。なら清四郎も来るでしょ?」
「……ええ、まあね。是非出席させていただきますよ」
内心で舌打ちをしながらも、敢えて表情には出さぬよう努め、笑みを浮かべて返答した。
*
で、結局。
「あー食った食った!んじゃ、あたいん家で二次会だー!」
「まあ悠理、あれだけ食べたのに、まだ食べるつもりですの?さすがですわねえ」
「野梨子、今更だよ。魅録、お前はどうするの?」
「まあ、皆行くんだったら、俺も特に用ないし行くよ。美童、お前こそデートじゃないのか?」
「今日はちゃんとスケジュールを空けてきたから大丈夫。清四郎、勿論行くよね?」
「……ええ、まあ。では可憐、我々は失礼しますよ」
「はいはい。ああ悠理、私も片付けが終わったらあんたの家に向かうからね」
「らじゃー!んじゃ、おばちゃんによろしくな、可憐!また後で!」
いつもの通り、倶楽部全員で悠理の家へとなだれ込み。
「おお、いらっしゃい!皆を待ってたがや!」
万作おじさんの満面の笑みと、滅多にお目にかかれない大吟醸やシングルモルトの雨あられ。
元来酒嫌いが存在しない、倶楽部の面々は見事なまでに出来上がり。
その結果。
一度沈んだ後に復活を果たした僕が見たものは、万作おじさんと他の面々の、惨状だった。
一升瓶を抱き締めて眠る、万作おじさん。
その隣で、タマとフクに寄り添われながらも、豪快な大股開きの寝姿を披露している悠理。
野梨子と可憐は仲良くソファーに寄り添って沈み、美童も近くでワインボトルと熱く抱擁。
魅録ですら、一升瓶を枕に夢の世界へ旅立っている有様で。
……冷静に惨状を見詰めている僕だって、実際はワインボトルを枕に熟睡していたのだ。
「ふぅ……。全く、散々ですな」
(……嗚呼、何故こんな事に……)
心の中で盛大に溜息をつきながら、悠理の傍らに歩み寄り、腰を下ろした。
豪放な寝姿とは裏腹に、静かな寝息を立てている寝顔は驚く程可憐で美しい。
床に仰向けになっているため、髪がふわりと広がっていて、白い耳が微かに見えて。
僕はそっと唇を近づけると、相手には聞こえていないであろう囁きを落とす。
「悠理……Trick or treat」
勿論返答はない。
僕は無自覚に口元を緩めると、眠る彼女にもう一度囁く。
「お菓子を貰うのは無理なようですね……。この程度の悪戯なら、許して下さいよ」
そして。
桜色の柔らかな唇を、己のそれで、そっと塞いだ。
*
蜜月は得られず。
しかし、蜜より甘い感触を得て。
僕はそれなりに、楽しいひと時を過ごしたようだ。
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。