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見ていただければお分かりのように、季節感は皆無です。
……どうかご容赦を……。
清四郎一人称、妄想万歳ちっくな短文でございます。
兎角、浮世は謎だらけ。
『ミステリィ』
僧侶すら走り回る程多忙を極める、などと言われるこの季節。
しかし年中何かと多忙な我が身を省みれば、何を今更と思わないでもない。
家族にも呆れられる程に、多趣味を極めし自分自ら蒔いた種とはいえ。
最近では、そろそろこんな生活に見切りをつけるべきではないかと思う事もたまにある。
……その原因は、勿論。
「なぁ清四郎?」
「何ですか、悠理」
「お前さ、さっきからすっげー眉間に盛大な皺寄せてるけど、何かあった?」
女性にしては低めの声で、更に口調は物凄くぞんざいで。
第三者的目線で見れば、女性的な魅力に多少欠ける部分は否めないけれど。
それでも時折見せてくれる優しさや、天真爛漫な笑みの柔らかさが嬉しくて。
何よりも、その純真無垢な心に日々癒される幸福を味わいたくて。
今このひととき、自室のそれなりに快適な空間に。
膝に彼女を座らせて、後ろから手を回し、その体温と柔らかな感触を受け止める。
決して誰にも見せられはしない、自分だけの至福のひと時。
「……いいえ、何でもありませんよ、悠理」
「んー、そっか?あたいがずっと膝に座ってっから、重いのかと思った」
「そんな心配は無用ですよ。それとも悠理、こうしているのは辛いですか?」
「うんにゃ、あたいは別に平気。何ていうか、お前いっつもこうさせるから、慣れたしな」
悠理は少し照れたように微笑むと、体重を僕に預けてくる。
可愛らしい仕草に、つい顔が綻ぶのを自覚した。
──不快感を覚えるなら、最初からお前にここに座ってもらったりなどしませんよ。
自分とは長年の付き合いであるのにもかかわらず、そんな単純な事に気づかぬ最愛の女性に。
絶対に教えたりはできない、惚気のような言葉を飲み込んで。
僕はふわふわの髪に顔を埋め、愛用しているシャンプーの香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
*
あまりの自分の変容を、戸惑うことなく受け入れて。
それすら幸福だと認識してしまう、現状。
嗚呼、これこそが。
僕の人生最大の、ミステリィ。
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。