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新年以降またずいぶん期間が空いてしまいました、管理人Mでございます。
長期放置にもかかわらずお越しくださっていた皆様、コメントをくださった皆様。
本当にありがとうございます、そして申し訳ありませんでした。
今だ創作ペースが落ちたままですが、それなりに努力できればと思います。
漸くバレンタイン小話をひとつ。清四郎一人称です。
後ほど、対となる悠理一人称の話を拍手にアップするつもりです。
「つづき」からご覧くださいませ。
何の気なしに、捲っていたビジネス誌。
そこに特集されていた、記事。
曰く。
『今年の流行は彼女への逆チョコ!!』
──今更だ、と思った。
『誤算の14日』
今週はとにかく、我が倶楽部の人間たちへの呼び出しが多い。
勿論その中で一番人気を誇るのは、悠理と決まっているのだが。
「悠理さまあ、是非お召し上がり下さいませ!昨日徹夜いたしましたの」
「わ、私もですわ悠理様!どうかお受け取りくださいませ」
「私のは、ベルギーで作らせた特注品ですのよ!」
必死な形相の女生徒が数名、例の如く悠理を取り囲んで、それぞれの想いを託したチョコを手渡す。
勿論、言うまでもなく悠理といえば、これ以上はない程に上機嫌。
「ああ、勿論全部貰うよ!みんな、ホントにありがとな!」
満面の太陽スマイルと共に一言言われれば、途端に女生徒たちから大歓声。
「毎年ながら、大したもんよねぇ、あのコ」
「ええ。悠理は特別な事は何一ついたしませんけれど、素直に感謝の意を表すのは本当に得意ですものね」
女生徒達の興奮を、むしろ微笑ましく見守っている、可憐と野梨子の隣では。
チョコの個数で例年負けているという、複雑な笑みを見せた美童の姿があった。
そして、本番14日。
暦の悪戯に拠るものか、今年は土曜日となったこの行事。
街を歩けば、いかにもバレンタインデート的な男女の二人連れが、さすがに目立つ。
ふと思い立って視線を巡らせてみると、確かに気付いた例年との違い。
どこぞの有名洋菓子店のショッパーを抱えている男女の、多いこと多いこと。
むしろ女性の方が、男性から貰ったものを持ち歩いているようにも見受けられる。
(どうやら、一般にも浸透してきているようですねえ)
ビジネス誌の記事を思い出しつつ、ふむと頷いて。
ちょうど視線の先に発見した看板に、口元が緩んだ。
(これはまた、ちょうどいいタイミングですね。あそこで調達しましょうか)
僕はこれからの計画を頭の中で即座に立ててから、看板目掛けて歩き始めた。
そして辿り着いた、我が家の周辺。
無意識に気配を潜めて歩いていた自分の前で、硬直しているのは。
(……悠理、ですねえ)
目を凝らして確認するが、やっぱりあのふわふわ猫っ毛は、間違えようもなくて。
何をしに来たのだろうかとしばし考え、唐突に閃く。
──まさか。
まさか僕に、チョコレートを渡しに?
注意深く様子を伺っていると、確かに彼女は見慣れぬショッパーを手に提げている。
これはもう、間違いない。
確信したと同時に、自分の心臓の鼓動が急激に高まって、うっかり口元が緩みそうになるのを自覚して。
僕は必死で平静を装いながら、案外細い背中に向かって声をかけた。
*
結局は、恋の相手がいてこその、幸せ。
そんな些細な事実に漸く気付いた、今年のバレンタインデー。
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。