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早速ですが、『耳の日』から発展した小噺をひとつ投稿。
清四郎一人称です。
文才がどちらかに落ちてないかなあ、と本気で思っています(汗)
届いたのは、貴女の気持ち。
『耳に届くは君の声』
カレンダーを眺めて、思わず溜息を零す。
「もう、1週間ですか……」
1週間。
7日間。
168時間。
一万と、80分間。
ずっと貴女に、会っていない。
原因は、互いのスケジュールの過密。
文字通り、世界を股にかけて生きる人生を選んだ2人にとっては、避けられない事。
勿論、拒絶しているわけではない。
学生時代のお気楽な暇潰しだけでは、得られないような高揚感。
確かにそれは、人として生きるうえで、大きな生き甲斐となっているのは事実。
されど、愛する人と過ごすひと時を得られるならば、時が止まっても良いとすら思ってしまうのも、また事実。
(……女々しい限りですな、全く)
我ながらこれ程、狂おしいまでにその存在を求めているのは、久し振りで。
瞼を閉じ、太陽のような笑顔の擦れた輪郭を、記憶でなぞるのが精一杯。
溜息が、零れる。
「……ん?」
沈み行く筈だった思考に歯止めをかけたのは、携帯電話の着信バイブ。
仕事用のそれではなく、存在すらあまり知られていないプライベート用携帯の着信音に、はっとする。
慌てて通話ボタンを押し、小刻みに震える手で持った携帯を口へ当てて。
「もしもし」
『あ、清四郎!元気か?』
途端に耳に飛び込んで来たのは、たった一人の最愛の女性。
「ええ、お陰さまでぴんぴんしておりますよ、悠理」
『そっか?なら、良かったよ』
安堵したような響きの声を耳にして、途端に癒されていく、心。
おぼろげに霞んでいた笑顔が、脳裏に鮮明に蘇った。
悠理との会話は、まるで色気などないものだったが。
それでも大いに満足し、満たされる自分については、十二分に自覚済み。
やがてタイムリミットが来て、悠理が通話の終了を切り出す。
『悪いな、清四郎。あたいも今の仕事終わったら、正式にそっち顔出すよ。じゃ、頑張れよ!』
「ええ、貴女こそ、気をつけて」
静かな余韻を残して消える、彼女の声が。
至福の音楽のように錯覚してしまえたのは、想いがなせる幻にも似て。
驚く程のお目出度い思考をした自分に、苦笑いを零した。
*
いつまでも愛しき、貴女の声を。
その姿と共に、焼き付けて。
僕はまた、日々を過ごす。
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。