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本日昼間にお知らせした「7万ヒットのキリ番設定」。
無事カウンタは7万突破したのですが、お客様にお名乗りいただけませんでした。残念。
という事で、急遽「71000」を次のキリ番に設定させていただきました。
興味のある方、引き続き狙ってみて下さいませ。
そして。
7万ヒットにちなみまして、珍しくフリー配布の阿呆な小噺をアップします。
とりあえず、今月末まではご自由にお持ち帰り可能とさせていただきます。
なお、中身は超つまらないですので、ご容赦願います。
周囲からひたすら賞賛される、完璧な能力の男。
……の、はずなのに。
『70000回への夢を語る。』
今更だけど、あたいの夫─菊正宗清四郎─は、自他共に認める切れ者で。
剣菱財閥の看板を背負って立つひとり、として内外から認識されているのも事実。
実際、財閥の中心部でも父ちゃんや兄ちゃんと並ぶ活躍っぷりだし。
昔っから倶楽部の頭脳だったし、リーダーだったし。
「有閑倶楽部に不可能なんて有り得ない」と公言して憚らず、有言実行してきた奴だ。
おまけに母ちゃんも文句を言わないイケメンだってのは、仕方ないけど認める。
……服装のオヤジ趣味だけ、何とかしてもらいたいってのは、今でも思うけどさ。
なのに、ああ、それなのに。
あたいはどうして今、眩暈を覚えてるんだろう。
*
「……ふむ……」
「清四郎?何かあったのか」
久々に、定時で退社してきたという清四郎は、夕食後に部屋に戻るとやたら小難しい顔で。
お気に入りのソファーにどっかり腰を下ろすと、両腕を組んで溜息を零す。
眉間に寄せた皺が気になって、声をかけてみると。
「ああ、悠理。いえ、大した事ではないんですよ」
こいつにしては珍しく、ちょっと困ったような笑みになって、あたいの髪をくしゃりと撫でた。
そこには普段の意地悪い奴はいなくて、正直あたいが戸惑う程。
「何だよ、思わせ振りに。あたい相手じゃ、言えないような悩みかよ?」
ぷうっと頬を膨らませつつ答えると、清四郎は慌てた様子で髪から手を離す。
それからあたいの両頬を、大きな両手で優しく包み込んだ。
「とんでもないですよ、悠理。むしろ、お前にしか言えない事ですからね」
「へ………っ、う、んうっ」
笑顔と共に、あたいの発言を強制終了させる手口は、相変わらず巧みで。
あたいはそのまま翻弄されて、解放された時には見事に腰砕け。
「ったくぅ……、少しは手加減しろって」
「おや、僕だってお前相手に色欲を制御できるほど、人間はできちゃいませんよ」
清四郎の腕の中で零した台詞に、本気とも何ともつかない言葉を返されて。
お約束のように絶句して、奴の胸板に頭突きした。
あたいの真っ赤になったほっぺも落ち着いた頃、清四郎が徐に切り出した。
「さて、悠理。七万を10で割ると、どうなる?」
「へ?……七千、だよな」
「その通りですよ。よく出来ましたね」
では、と奴は更に続ける。
「七千を、365で割ると?」
「365……って、暗算できねーじゃんか!意地悪だなあ」
頭の中で計算できず、あたいが再度頬を膨らませると、清四郎は苦笑いで。
それでも正解を、わかり易く教えてくれた。
「すみませんでしたね。答えは、まあ凡そ、19とちょっとです」
「ふぅん。んで、何で今そんな事考えてたわけ?」
あたいが眼の前の疑問に首を傾げたとき、清四郎は。
くすり、と穏やかに笑みを浮かべてから、とんでもない発言。
「僕とお前がキスをして、七万回に達するのはいつになるのか?と思ったんですよ」
(……はぁ……?)
あまりに突拍子もない夫の発言に、あたいは思考停止状態。
そんなあたいをどう思ったのか、清四郎は更に続ける。
「一日一回だと、190年以上もかかってしまうんです。でも僕らの場合、実際は一日でふた桁ぐらいしてますからねぇ。恐らく銀婚式前にもノルマクリアができると思うんですが、どうですか?」
「ちょ、ちょっと!?お前っ……」
端麗と謳われた容姿から、信じられない程お馬鹿な言葉を吐き出して。
清四郎のお馬鹿計画は、止まらない。
「今からでも取り組めば、一日20回前後のノルマで、恐らくは10年程度で達成できる気がしますよ」
納得したかのように数度頷き、それから満足げに息を吐く。
そんな姿は、傍目にはまさに「エリートの休日」なんだけど。
今奴の優秀な頭脳を占領してんのは、妻とイチャコラする煩悩だらけだと、知ってるから。
あたいは激しい眩暈に襲われ、がっくりと頭を垂れて、清四郎の胸板に再び沈み込んだ。
*
こんな阿呆な男に惚れて、結婚までしっかりしたんだから。
結局あたいも、おめでたい奴。
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。