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暇人が開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。漫画『有閑』の会長と運動部部長を推してます。
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こんばんは、ご無沙汰してます管理人です。

早速ですが、先日実施した突発企画にご応募いただいたリクエストから、ひとつ。
まる様の「付き合い始めてちょっぴりすれ違いありの二人が仲直り、みたいなちょっぴり切ない感じ、でも最後は甘い感じのお話」を形にしてみました。

…泣けますね。
己の文章力の低さに、涙も止まりませんよ…。

一応、あたいだって「女のコ」で。
だから勝手に思い込んでた部分もあったんだ、って。

そんな当たり前の事を、思い知らされた、瞬間。


『不安確率1%』


コクハクってのは、一応、アイツから。
まあ、所詮男女なあたいと、おっさん臭い清四郎の事だから、ムードもへったくれもあったもんじゃなし。
場所だって、フツーに部室だったし。
「悠理、ちょっと」
「ふむん?ふぁに、ふぇいひおー」
ちなみにこの時、あたいは差し入れと格闘中だったってのが、まずいただけない。
ま、その辺全く気に留めないのは、アイツらしくもあっけどね。
「喋る前に、口の中の物は飲み込む!……ま、今更ですな。とりあえず、僕の話を聞いて下さい」
「むー」
あたいは一応声も出して頷いてから、可憐お手製アイスティーを飲み干して、人心地。
差し入れの菓子類も片付いて、満足満足。
「んで清四郎、何?用事でもあんのか」
「ええ」
そうぽつりと答えると、清四郎は溜息をひとつ。
次に額に手を当ててから、ずい、っと無駄に整った顔をあたいへいきなり近づけた。
「あんだよ!?」
唐突のすだれ頭……もとい清四郎のドアップに仰天するも、奴は一向に構わないらしく。
「僕はどうやら、お前が好きなようです」
「……はあぁ!?」
盛大なあたいの叫びなぞ無視して、似合わぬ頬染め赤面顔なんて披露してた。

で、結局。
別に他に付き合ってる相手がいるわけでもなし、アイツが死ぬほど嫌な訳でもなし。
って事で、『お付き合い』なるものを受けてみたんだけど。
「なー清四郎、付き合うって言ってもさ、具体的に何をどーすんだよ?」
疑問を素直に口にしてみると、案の定、清四郎は眉間に盛大な皺。
「何というか……そんな事をまともに言い出すのが、いかにも悠理ですねえ」
「どーゆー意味だよ!?間違っても褒めてねーよなあ、ああ!?」
尊大なものの言い方が癪に障り、頬を思いっきり膨らませて見せると。
「おや、ずいぶんと素早い分析ですな。その通りですよ」
「てーめーぇー!」
「ああ、すみませんね。つい、からかってしまいましたよ」
珍しく自分から折れた清四郎が、頭をぽんぽんと軽く叩いてみたりするもんだから。
おまけに、何だか幸せそうなニヤケ顔までつくもんだから。
何となくそれ以上怒鳴る事もできなくて、口をつぐんで俯いてしまう。
(……ったく、調子狂うなぁ)
もやもやするような、くすぐったいような、微妙な空気を。
あたいは、心地良いとは思えなかった。


   *


そんな感じの、2週間が過ぎた頃。

来週からの定期テストを控えて、例の如く『鬼家庭教師』を迎えてマンツーマンの勉強会。
「悠理、お前はまた、こんな問題を間違えて……!いいですか、ちゃんと聞いてて下さいよ!」
「へぇーい……」
甘ったるい空気なんて微塵もない、びりびりした空間に、清四郎の怒声がこだまして。
あたいはひたすらに首を引っ込めつつ、与えられた課題をこなそうとするだけ。
それはもう、『お付き合い』なんて始める前の、そのまんまで。
(何か、さ、こういうのって、違わね?)
問題集にひいひい言いながらも、心の中に渦巻くのは、性質の悪そうな『もやもや』。
くすぐったさじゃなくて、単に居心地が悪い感覚。
(こんな、全く今までと変わんない関係なんて……意味、あんのかな)
清四郎から告られた『お付き合い』の意味が、よくわかんなくなる。
可憐や美童があんだけ騒いでる恋愛と、今のあたいたちって真逆っぽくて。
「……、悠理?悠理!」
「へ、うえ!?」
不意に肩をがくがくと揺さぶられ、意識が覚醒。
はっとして顔を上げると、やけに近い距離に清四郎の顔があって。
「おうわぁ!?な、なんだよっ」
慌てて距離を取ろうとすると、先読みされてたのか、清四郎にがっちり肩を掴まれてた。
「聞きたいのはこっちの方ですよ。どうしたんですか……一体」
「へ」
やけに優しげな口調に首を傾げると、清四郎は一度目を見開いてから、苦笑いして。
大きくてごっつい手を、あたいの頬にそうっと当てて、軽く優しく撫で始めた。
「無自覚なんですね?手に負えませんなあ、全く」
「え……?」
目をぱちくりさせたあたいの頬を、手で幾度も撫でながら、清四郎は言葉を続ける。
「言いたい事があるなら言って下さいよ、悠理。今、自分がどんな顔をしているか、わかりますか」

清四郎の言葉と、続いた溜息が耳に届いて。
と、思ったら、あたいの視界が清四郎のシャツで埋められた。
同時に感じるのは、背中に回された清四郎の腕の温度と力とか、くっついた部分から伝わる心音とかで。
要は、奴に抱き締められてる状況らしい。
(ちょ、待て待て待てっ!な、なんでいきなりっ!?)
現状を漸く理解したあたいは、何とかこの腕の中から脱出しようとするけれど、時既に遅し。
清四郎の腕の拘束なんて、そうそう解けるもんじゃない。
暴れようとしたけれど、悉く失敗し、結局は。
「うー……」
「野良犬ですか、お前は。全く、唸り声なんぞ感心しませんな」
溜息を交えて語る清四郎に、ひっついたまんま。
隙あらば逃げ出そうと考え身体に力が入っているのもバレバレらしく、腕の解ける気配は皆無。
(清四郎の意地悪……)
仕方ないので潔く諦め、清四郎の鍛え上げられた胸板に、体重なんぞかけてみた。
「それでいいんですよ、悠理」
唐突に優しい声が降ってきて、上を向いてみると、あたいを見下ろす清四郎と目が合って。
存外、優しい表情なんてしてたもんだから、途端に顔が熱くなる。
(ちょ、な、何で?)
あたいの変化に気を良くしたのか、清四郎は笑顔になって。
「おや、良かった。ちゃんと僕を意識してくれてるんですね、安心しましたよ」
気分よさ気に言い放つと、あたいの額をそうっと撫でて、唇を落とした。

「なっ……!」
気障っちい行動をあっさり許してしまった自分に、赤面。
あれ、でも同時にあの、気恥ずかしいぐらいのくすぐったい『もやもや』が復活して。
自分でも自覚できるぐらいに、顔が沸騰しそうな程赤い。
そんなあたいを見つめていた清四郎は、笑みを深めてあたいの頭を撫で始める。
「良かった。僕だけがひとり、浮かれているような気がしていましたよ」
「……そうなのか?」
「ええ。何せ僕も、恋愛に関してだけは今まで経験がないものでね。手探り状態なんです」
珍しいというか気持ち悪いぐらい素直に言うと、清四郎はあたいの頭に顎を乗せて。
「でも、そんな僕でもわかるんですよ。お前と一緒にいる時間は、何よりも大事だ、って」
「……」
「しかし、いくら必要に迫られていると言っても、勉強ばかりでは……さすがにいけませんな」
奴はそう言ってから顔を上げると、ふむ、と顎に手を当てて。
しばし熟考した後に、あたいへこう告げた。
「悠理、今日は午後から出かけましょう」
「え?」
「せっかくですからね。『初デート』って経験を、しておくんですよ」

──デート。
清四郎と、初デート。
あたいの頭の中でリフレインする単語は、頬の熱を冷ます手伝いはしてくれなくて。
仕方なく、あたいは清四郎の胸に顔を埋めて、熱が冷めるのを待つだけだった。


   *


本当にささやかだけど、期待もしちゃうし気にもなって。
やっぱりあたいも、一応女。

周囲に翻弄されまくって、不安になる確率は、1パーセント。

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プロフィール
HN:
シスターM
性別:
女性
自己紹介:
国産ヒト型40代、夫・息子1人がいます。徒然なるまま…ではないですが、勢いに任せ、所謂二次創作をちまっと数年続けてます。
当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。
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