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月が変わって、お礼文も入替えさせていただきました。
5月のお礼文は、捏造設定が多々ございましたが、個人的には案外好きです。
目指すは、高み。
『昇竜を夢見て』
皐月も近付いたある日、剣菱邸の庭に響くは重機のモーター音。
今年もそんな季節かあ、と呟く妻。
そして。
「どうだがや!勇作のために、豪勢に七色にしてみたがや!」
誇らしげに胸を張る義父の頭上を、風を孕んで泳ぐのは。
七色の総ラメを施された、鯉のぼり。
*
「……こういう時、ほんっと成金だって感じるなあ、ウチ」
七色の目にも眩しい鯉のぼりを見上げ、既に諦めの境地に達している妻・悠理の、溜息交じりの台詞。
「会長も嬉しいのでしょうね、初孫が誕生したのが」
「うん……まあ、ね」
悠理の兄・豊作さんに待望の長男が誕生したのが、昨年8月。
勇作と名付けられた子どもは、現在健康そのものの健やかな成長を続けている。
結婚を機にこの家を離れ、妻子と生活することを望んだ豊作さんは、月2回程家族でここへやって来るが。
晴れておじいちゃん・おばあちゃんとなった会長夫妻も、心から楽しみにしているらしい。
……まあ、僕と悠理に対する『早く孫を』コールが減少した事が、最大の収穫だったりするのだが。
鯉のぼりの下を離れ、悠理と共に庭を散策する。
「ところで悠理、どうして子どもの日に鯉のぼりを飾るか知っていますか?」
「それくらい、あたいだって知ってらい!鯉が滝を登ったら竜になる、っていう伝説があっからだろ?」
「おや、意外にお前も物知りですな」
「ったく……だいたいこれ、お前が言ったんだぞ」
不満顔の妻に、僕はすみませんね、と囁いて。
「立身出世を望むのは、今も昔も変わりませんよ。僕だって、同じです」
「あれ、そうなんか?」
「ええ。僕は常に望んでいますからね、『お前に相応しい男になりたい』と」
にやりと笑みを浮かべつつ、悠理の白い手をさり気なく引き寄せ、手の甲に口付けると。
案の定、悠理は真っ赤になって、絶句した。
*
いつだって、男が望むのは。
愛する人に相応しい、高みに決まっているんですよ。
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。