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昨日久々に【無自覚シリーズ】更新させていただいたところ、コメントまで頂戴できて有難い限りです。
非公開でコメント下さったお客様、相変わらずの自覚だけなし馬鹿ップルをお楽しみいただけたなら何よりです。
ちなみに清四郎も勿論自覚してない、という設定でまだまだ進めてまいります(笑)。
我ながら、とんでもない阿呆なふたりだとは思うのですが…(汗)その点はどうぞご容赦を。
で、本日は、やたら滞ってしまっていた「フリリク文」です。
ななお様リク『清四郎のミスで悠理が怪我をしてしまい、そのことで苦悩する清四郎』を目差して捻ってみましたが…いかがでしょうか。
恐らく自分が怪我をしたとて、これ程心揺さぶられる事はなく。
『それでも君は笑うから』
広大な剣菱邸の一角、ご令嬢の私室では。
「全く悠理ったら、少しは自重なさいよ!」
可憐が青筋。
「本当ですわ、仮にも女性なのですから。何かあったら大変ですわよ」
野梨子が忠告。
「悠理の無鉄砲は、今に始まった事じゃないけれどね。本当に気をつけてね」
美童が指摘。
「ま、とりあえずしばらくは、大人しく寝てろよ」
魅録が命令。
……以上のフルコースを受けて、さすがに辟易したらしく。
「うっさいなー、わかってらい。大体こんなじゃ、表出られねーもん」
全員に囲まれて盛大な膨れっ面を見せる、悠理。
「ま、そうよね。じゃ、あたし達は帰るわ」
「私もお暇しますわね。お大事に、悠理」
「明日は美味しいお見舞い持って来るからね」
「前に頼まれてたCDもちゃんと届けてやっからな、大人しくしてろ」
「「「「じゃ、清四郎、後はよろしく」」」」
「ええ、わかってますよ。では皆、帰りは気をつけて」
見事なハーモニーによる挨拶を、僕は眉間に盛大な皺を寄せて受け取った。
「なあ、せーしろ」
4人の背中を大人しく見送ってから、悠理が不意に僕を呼ぶ。
「何ですか?」
正直気分はすこぶる宜しくないが、悠理が悪いわけでもないので、僕は表情を慌てて切り替え。
悠理が横になっている、ベッドの脇の椅子へ腰掛けた。
すると彼女は僕の顔をしげしげと眺め、ぼそりと。
「お前さ、まだコレ、気にしてんのか」
彼女自身の右脚を指差し、首を傾げた。
高い運動能力を有するにも拘らず、華奢な印象すら受ける、彼女の細く長い脚。
そこにがっちり巻かれている、白いギブスが痛々しくて、僕の表情は無意識に歪む。
「……当たり前、でしょう。元を辿れば僕の責任ですからね」
「責任って言ってもなあ……あたいがドジって、受け身取り損ねただけじゃんか、これ」
僕の発言に、悠理は溜息を交えて否定してみせるけれど。
いくら彼女がそう言ってくれたとしても、僕は僕自身を、許せない。
雲海和尚の元で修行していた折の、通常では有り得ない気の緩み。
バランスを崩した僕を、持ち前の反射神経で支えてくれたのが、他ならぬ悠理。
しかしいくら彼女が抜群の運動能力を誇っていても、所詮は女性であるのだから。
僕と自分、2人分の体重を支えきれずに脚を捻ってしまった結果が、見事な亀裂骨折だった。
「本当にすみませんでした、悠理……。痛い思いをさせてしまいましたね」
僕は本当にいたたまれない気持ちになって、そっと手を伸ばし、彼女のギブズに手を触れる。
無機質なそれに覆われた彼女の脚を、傷つけてしまった事実が苦しくて。
そんな僕を見てどう感じたのか、悠理は眉間に皺を寄せて、溜息をひとつ。
「ったく、お前がそんなんじゃ調子狂うじゃんか……」
乱暴に言葉を吐き出すと、上半身をよいしょ、と起こして。
ふわり、と両肩にかかる重み。
「……悠、理?」
僕の首に腕を回して、悠理が覆い被さるように、抱きついていた。
「気にすんな、清四郎」
「悠理……」
「あたいが不覚取っただけだし、別にこんなん、何でもないだろ。頼むからこれ以上、そんな苦しい顔すんな」
口調は相変わらず乱暴で、でも彼女の優しい気持ちは本物で。
僕は、自分の尖った心が少しずつ棘を失い、丸くなっていく心地。
少しずつ姿勢を変えて、僕に抱きついてきた彼女の背に、そっと腕を回して包み込む。
柔らかな重みが、心地良い。
「……すみませんね。お前に慰めてもらうなんて」
「あー、だからもう謝るなっての。ホントに今ので、最後にしろよ、な?」
悠理は拗ねたような口調でそっと告げると、腕の力を微かに強めて。
僕の顔をじっと見詰め、ふんわりと笑った。
それに合わせるかのように、僕も両腕へ力を込める。
「……わかったか?」
「……はい」
ありがとう、と僕が言い添えると、悠理は途端に耳まで真っ赤にしながらそっぽを向いたので。
僕は思わず口元が緩み、心からの笑みを浮かべることができた。
*
落ち込む時も、浮上するのも、君が全てのカギらしい。
嗚呼、僕が心揺らす切欠は、いつも、君。
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。