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暇人が開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。漫画『有閑』の会長と運動部部長を推してます。
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大変ご無沙汰しております、管理人です。
大雨で大変な地域の皆様、大丈夫でいらっしゃいますか?
被害に遭われた皆様へ、心からお見舞い申し上げます。

久し振りに、過去の書きかけ小噺を投下してみます。
何を書きたかったのか覚えてない(爆)ですが、恐らくはぶきっちょな清四郎らしさを書いてみたかったのでしょう、当時の私。
…意味わからんな…(汗)

 ──幸せって、何だろ。

 ぽつり、と。
 貴女が呟いた横顔は、寂しくて。

 

 『無器用な男の話』

 

3日間程、親類の葬儀に参列するとの理由で学校を欠席した悠理。
幸い大きなトラブルに巻き込まれることもなく、戻って来たのだけれど。
感じた違和感は、気のせいではなく。

「清四郎、悠理に何かありましたの?」
「何だか気になるのよねぇ」
「あいつはとにかく霊感体質だからなあ、何もないならいいんだけどさ」
「お前、何とかしてやれよな。あいつがこんなに長く笑ってねえの、気のせいじゃない

だろ」

(厄介事は全て僕任せですか……)
心の中でぼやきつつも、確かに細い背中が気になって。
思い切って、訊ねてみる。

「悠理」
「ん?あんだよ」
「最近元気がありませんね。何か、ありましたか?」

僕の言葉に、彼女はちょっとだけ目を見開いてから。
複雑そうな笑顔で、大したことじゃないけど、と呟いた。

 

 

表情が晴れない悠理と共に、家を訪問して話を聞くことにする。
ケーキにも手を出さず、彼女が口を開いた。

「ウチ程じゃないけどさ、亡くなったおじさんって、結構金持ちで」

悠理が話し始めたのは、葬儀に参列した親類の話。
聞けば、彼女を大層可愛がってくれていたそうで。

「美童みてーに女好きで、色んな所のお姉ちゃんと楽しそうに遊んでて」
「ご結婚はされてたんですか?」
「んーん。本気になれる人がいない、っていつも言ってた」

僕の質問に、悠理はそっと首を振って。

「でもさ、病気になっちまって……。病室に見舞い行ったんだぞ、何度か」

その時の事を思い出したのか、瞳に寂しさが宿る。
僕は相槌を打つのも忘れ、普段あまり見る事のない、その表情に魅入られていた。

「おじさん、いっつも『俺の人生って、寂しいもんだな』って」
「寂しい……ですか」
「ん。あんなに楽しそうに見えたんだけど、ね」

悠理は瞳を空へ彷徨わせ、ぽつりと呟きを漏らす。

「幸せって、何だろ……」

 

 

愁いを帯びた横顔は、日頃の生命感溢れる姿とはあまりにかけ離れていて。
長い睫毛が微かに震えている様が、例えようもなく儚げで。
どう声をかけるべきかも、僕は全く思いもつかず。

「……悠理」
「え、」

ふわふわの猫っ毛を、そうっと撫でると。
悠理は本物の猫のように目を閉じて、僕の手に身を委ねて。

「何だよ急に」
「いえ、別に何も。ただの、気紛れですよ」
「ふぅーん……変なの」

それでも、邪魔だと手を払いのける様子もなく。
僕もそれ以上、何をどうすれば良いのかなど思いつかず。

結局そのまま長いこと、柔らかな手触りを堪能していた。

 

    *

 

 貴女のあんな表情を、見ていられなかった、と。
 告げる事は愚か、自覚する事もできなかった。

 そんな未熟な、思い出。

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プロフィール
HN:
シスターM
性別:
女性
自己紹介:
国産ヒト型40代、夫・息子1人がいます。徒然なるまま…ではないですが、勢いに任せ、所謂二次創作をちまっと数年続けてます。
当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。
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