近い夜に寄り添う

こんばんは、管理人です。
人魚様から拝借した選択式お題による創作、前回アップしてみましたところ、大変ご好評いただきまして吃驚しております。
一時期すっかり潜ってしまっていた拙宅にも係わらず、ご訪問してくださるお客様がいらっしゃるのは、大変有難い事です。
これからも、地味ーにではありますが、何か綴っていければな、と思います。

で、今回のタイトルも拝借したものです。
タイトルにそぐわぬ内容なのは…あうう（涙）ご容赦を。
一応成人後の2人をイメージしております。

近い夜に寄り添う

せめて、心で。

　　　＊

逢えない理由を数え上げると、きりがない。
あいつの仕事だったり、あたいの家での手伝いだったり、そりゃもう色々。
お互いガキでもない事だし、いちいち文句をつけても仕方ないのは承知してて。
それでも、溜息ぐらいつきたくもなるのは、仕方ないから。

『件名：そっちどう？

　こっちは相変わらず。
　パーティーは退屈で、
　飯も微妙だし。

　早く、帰りたい』

愚痴だけのメールを送信すると、矢のような速度で返信があって。

『件名：意見が合いますな

　商談は無事成立。
　今は食事中ですよ。
　味はそこそこ、ですが。

　退屈なのは、お互い様。
　早く帰りたいものです』

……珍しく、愚痴った内容だった事に驚く。
普段は結構あたいにだって、見栄っ張りなメールも寄越すのに、ね。

『件名：週末は

　日本、戻って来んだろ？
　飯、行こうな！』

お疲れ様、とか頑張れ、とかは苦手だから。
伝わるように、と祈りを込めて、もう一度送信。

『件名：了解です

　予約しておきます』

大変簡単な返答に、アイツらしいな、なんて口元を緩めた。

週末は、楽しく飯が食えるといいな。

　　　＊

逢えない距離を、言葉で埋めて。
逢える時間を楽しみに、心はずっと、寄り添って。

夢に見るのは、貴方の笑顔。