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私事で案外忙しく、なかなか妄想に耽る余裕が得られません(涙)。
お越しくださってるお客様には、本当に申し訳ないと思います。
突発駄文を投下して、今宵は退散いたします。
悠理一人称、短いです。
突然のコール。
アイツからなんて、超珍しくて。
柄にもなく、緊張する、自分がいる。
『エマージェンシー』
金曜日の夜だけど、外遊してた母ちゃんが戻って来るって事もあって。
珍しく、ガッコから真っ直ぐ家に帰って、家族4人で夕飯を食った。
母ちゃんから貰った、たくさんのお土産の服を品定めなんてしてた時。
あたいの意識を服から遠ざけたのは、携帯の奏でるあいつ専用曲のイントロ。
「はい、もしもし」
『もしもし悠理、唐突にすみませんね』
「んーん、平気だぞ、気にすんなよ清四郎」
清四郎の落ち着いた声と一緒に機械越しで届くのは、街の喧騒。
「あれ、お前今どこ?」
確か今日は銀座で、面倒な会合があるって言ってた気がした。
そんなあたいの言葉に対して、あいつは事も無げに答える。
『今は会合を終えて、六本木に移動してきたところですよ。二次会でクラブへ行こうとする人たちと、違和感なく逸れてきました』
「何でそんな詐欺を自慢げに話してんだよ、お前って」
『おや、人聞きが悪いですな。これは自己防衛のための策ですよ、悠理』
電話の向こう、今きっとあいつ、偉そうに笑ってたりするんだろうな、なんて。
ニヤケそうになる頬を引き締めつつ、あたいは訊ねた。
「んで、何か用?」
『……ええ、まあ』
あの自信家にしては珍しく、言いよどむ節があったけれど。
それでもあいつは、はっきりと告げた。
『悠理。これから出られますか?』
え?と思わず首を傾げてしまうけれど、茶化す理由なんて全くない口調。
時計を見ると、午後10時半。
ふむ、とあたいは頭の中で、支度やら移動やらの時間を計算してみた。
「30分ぐらいかかるけど、いい?」
『ええ、勿論ですよ』
清四郎の了承を得てから、立ち上がる。
で、ふと気になった事を口にしてみた。
「ところで、何で急に呼び出し?」
すると電話の向こう、清四郎は明らかに言葉に詰まって。
やや沈黙を挟んでから、静かな声が届いた。
『ただ、僕が会いたいと思っただけです』
待ってますから、と店の場所を伝えて、切れる通話。
予想外の相手の言葉に、自分の心臓がむやみやたらと大騒ぎを始めたのを自覚。
(なんだよ……なんだよ、アイツは)
八つ当たりのように、心の中で繰り返してはみるものの、当然動悸は治まらない。
しかも時間は刻々と過ぎるのは、当たり前で。
あたいは意を決して両頬を軽く叩くと、立ち上がって準備を始め。
当初考えてたラフなスーツではなく、母ちゃんの土産のワンピを身に着けた。
車の用意を内線で頼みつつ、適当ながらも髪を纏め、準備完了。
今家を出る、と簡潔なメールを打ちつつ、名輪運転の自家用車へ乗り込む。
名輪へ行先を告げると、頷いたと同時に車は静かに走り出して。
あたいはシートに体を預けながら、さっきの清四郎の言葉に思いを馳せた。
(ったく、こんなのあたいっぽくねーじゃん)
頭の中でいくらそう考えても、勿論答えなんて出るはずもなく。
とりあえず、清四郎に会えばこの妙な緊張も、治まるだろうか、なんて。
深呼吸しながら、窓の外を見つめていた。
*
何かが今夜起こりそう、なんて。
不思議な予感を抱えつつ、あたいはアイツの元へと急ぐ。
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。