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空気が乾燥しておりますので、くれぐれもお風邪など召さぬよう、お気をつけ下さいませ。
管理人の対策は、とりあえず洗濯物の室内干しからスタートです。
ドラ○エもひと段落し、久々に小噺を。
このシリーズを書くのは、ものすごーく久々です。
今日10月12日が「コロンブスが新大陸を発見した日」だそうで、タイトルをつけたのですが。
本当は全くシリーズと関係ない、明るい小噺的な駄文にするつもりだったのですよ。
なのにどうしてこうなった、自分。
がっかり駄文ではありますが、ご一読いただければ幸いです。
で、話は変わりますが、前回の趣味丸出しの小噺に対しても、たくさんの拍手ありがとうございました!
コメントも頂戴しているのですが、勝手ながら返信は割愛させていただいております。
よろしくご了承くださいませ。
しかし、アレですね。以前アップした「トリガー」、続きをご所望なさる方、多いのですね(滝汗)。
確かに超中途半端な終わりにしちまいましたからね…。
頭を捻ってみます。
またひとつ、見つけた。
『ディスカバリー』
幼稚舎入園式からの、縁。
己の人生の中、数少ない黒歴史でもあり、しかしながら貴重な体験。
勉学だけでは駄目だという事を、身をもって知る事ができた、あの日。
弱い自分を知ったあの日から、忘れられない存在。
そして今、時を経て。
気の置けない仲の友だった君は、もうすぐ。
妻として、僕の隣に。
*
仏前・神前の二者択一を迫られた、結婚式。
義父母の剣菱会長夫妻が、これでもか、と夢を形にしようとした披露宴。
そんな飾りを、当然彼らの愛娘が承知する筈もなかったために。
いろいろと協議をした結果、挙式は人前式ベースの簡素なものに落ち着いて。
世間体をある程度考慮する必要のある披露宴についても、至ってシンプルな内容となった。
休日の午後、剣菱邸の一室で、僕は声を張る。
「では、これで決定に致しますよ」
お二方とも宜しいですね?と、室内のモニターで最終確認した、式の内容を。
無言で見つめていた義父母に問いかけると、御二方は笑顔で頷く。
「いやぁ、さすがは清四郎君だがや。いい式になりそうだがや」
「楽しみですわね、あなた」
いつまで経っても新婚さながらの、おしどり夫婦が微笑み合う横では。
相も変わらず口を挟まぬ─沈黙は金、を実践中の─僕の両親が、安堵の表情。
恐らくは、どこまで破天荒な式を挙げるのか、と不安を覚えていたに相違ない。
この僕がいるからには、そんな末代までの語り草になるような真似はさせない。
「父さんや母さんは、何かありませんか」
「いや、大丈夫だ」
「ええ何もないわ。素敵なお式、楽しみね」
言葉少なに頷く父親と、微笑する母親は、心からの言葉をくれた。
それから悠理ちゃんのドレス姿も楽しみよ、と母親は付け足して。
笑みを深めてから、僕の隣に座っていた悠理へ、話しかけた。
「悠理ちゃん、清四郎をよろしくね」
「……ん、おばちゃん」
どこか照れ臭そうに頷く悠理の横顔は、ほんのりと紅が差していた。
「あら、悠理ちゃん。そろそろ『母ちゃん』って呼んでくれない?」
「え」
「そうだよ悠理ちゃん。わしの事も『父ちゃん』と呼んでもらえないとなあ」
戸惑う悠理の反応を認め、母親は更に楽しげな表情に変わり。
せっかくこんなに可愛い娘ができるんだから、と父親までが口を挟む。
何だかんだ言っても、うちの両親も悠理の事はとても気に入っているのだ。
(ここにはいないあの姉も、いたく可愛がってますからねぇ)
さすがに自覚しているが、僕や姉はお世辞にも性格が良いとは言い難い。
大人だといえば聞こえがいいが、裏表があって読めない、との評価も多いのが事実。
そんな僕らと好対照な悠理の真っ正直さは、我が家にとっては希少なもので。
結婚云々の話がなくとも、きっと僕の家族たちは全員、悠理を構い倒しているはずだ。
「そ、そっか、父ちゃんと母ちゃんになるんだね。て、照れるなぁ」
柄にもなく頬を染め、指で軽く掻く悠理は、昔と変わらぬ可愛らしさで。
「呼び方だけの話ですよ、悠理。今更照れるような間柄でもないでしょう」
「そりゃ昔っからすっごく可愛がってもらってたけどさ!やっぱ、違うんだ」
僕が呆れたような口調で言うと、真っ赤になって反論してきた。
その日頃見ない愛らしさに、思わず頬を緩ませそうになってしまったが。
「まあ悠理ちゃんったら、何て可愛いの!」
「うぎゅっ」
まさかのうちの母親による悠理への抱擁が、僕の意識を正気に戻した。
唐突な抱擁を受け、悠理は目を白黒させている。
「やっぱりこんな素直な娘、欲しかったわぁ」
「うちのは揃って、表裏のある計算高い子ばっかりだったからなぁ」
清四郎も途中までは素直だったはずなのに、どこで間違えたんだろうなあ、と。
父親がしみじみと振り返るように発した台詞には、大いに引っ掛かるものがあったが。
「悠理が気に入ってもらえて、何よりだがや」
「本当ですわねえ」
剣菱のご両親も楽しげだったので、敢えて雰囲気を壊さぬよう、無言を貫いた。
「今日は、びっくりしたなぁ」
夕食後、うちの両親を見送った後、就寝時間も近づいた寝室で。
今日もどこぞのキャラクターを模した、愛らしい着ぐるみパジャマ姿の悠理が。
ベッドにごろり、と寝そべったままでふと漏らす。
白いふわふわした体と、実用的とは思えない大きさの翼。
フードから伸びた触角は、明らかに眠りの妨げになるのではないか、と思いつつ。
「何の事ですか?」
僕はお揃いでも何でもない、至ってシンプルなパジャマ姿で、隣に寝そべった。
「あのさ、おばちゃんの事」
悠理はこちらへ視線を向けて、ぼそりと漏らす。
「ああ、確かに珍しいぐらいはしゃいでいましたね、あの人が」
「いつも明るくて優しいおばちゃんだけど、あんなの初めて見たから、驚いた。やっぱ子どもの結婚って、うちじゃなくても親がはしゃぐのかなあ」
まるで独り言でも言うかのように、小さく呟いた悠理は。
僕から視線を逸らすと、ふと暗い表情に変わる。
「どうしました?」
そっと白い頬に手を触れ訊ねると、悠理は再び僕を見つめた。
でもその瞳は、どこか悲しげで。
「あのさ、今更だけど、何か、悪いかなって」
「え?」
「うちへの婿入りじゃん、お前。ただでさえ恋愛結婚じゃないし、うちの事情で結婚の話になったんだし、そのうえ跡取りなのに」
小声で呟く言葉の中身は、僕への罪悪感を含んでいるのがわかるけれど。
あれ程言って聞かせたのに、またお前は。
「──また、その話を蒸し返すんですか、お前は」
頬から額に手をずらし、前髪を避けてから、そっと唇を落とす。
「言ったでしょ、共犯なんですよ、僕らは」
悠理は無言で僕を見つめるが、その瞳が少しだけ潤んでいて。
「今更引き返せませんから、覚悟しなさい、悠理」
「でも」
「デモもストもありませんよ」
全くもう、と呟いてから、僕は悠理の身体を抱き寄せる。
並の男では到底かなわぬような運動神経を誇るのに、僕の腕にすっぽりと収まってしまう体躯の華奢さを、改めて自覚して。
白い頬に自分のそれを押し付けてから、僕は言葉を続けた。
「お前は僕が嫌いですか」
「っ、そんな事ない」
「なら、問題はないでしょう。僕も同じ気持ちですからね、あの時と同じように」
ひとり泣く悠理を抱き締め、結婚を決めたと告げた、あの日。
愛と呼べるものはないけれど、悠理を守ると決めた時を思い起こして。
抱き締める腕の力を、少しだけ増した。
「……清四郎」
悠理の囁くような声とともに、細い腕がそっと背に回される。
「ありがと。お前の手、今もすっごく、あったかい」
「悠理」
「ほんと、ありがと」
ちょっとだけこうしてて、と悠理はそうっと呟くから。
僕は、ええ勿論いつまででも、と答えた。
我ながら、声の甘ったるさに、内心苦笑いしながら。
*
無限の庇護欲を感じさせる程可愛らしい、貴女も。
無性に貴女を甘やかしてしまいたくなる、自分も。
新たなる、発見。
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。