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暇人が開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。漫画『有閑』の会長と運動部部長を推してます。
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ご無沙汰してます管理人です、こんばんは。
帰宅してからはやひと月、今日も無事に生きてます。

超久し振りにですが、リハビリ的な小噺をひとつ。
たまたまネットで発見してしまった品を見て、思いついただけの駄作ですから、色々と駄目な感じです。
実在のものを取り入れてしまっていますので、検索で引っかからないかも気になりますが(汗)。

ところで本州は、これから紅葉だそうですね。
北の地は山に白いものが降りました。というか、そろそろ降りそうですよ、雪。
今年は残暑が厳しかったせいか、紅葉はあまり綺麗になりませんでしたので、残念ですが。
明日は寒波なのか、予想最高気温が10度とか(滝汗)。
温かくして寝ようと思います。

「清四郎、明日ヒマ?」
放課後の生徒会室、タブレットで今日の株価なぞチェックしていた僕の背に。
先程は魅録と談笑していた筈の悠理が、声をかけてきた。
「ええまあ。何かありましたか?」
タブレット片手にくるりと向き直り、問いかけると、彼女にしては珍しく言葉を濁す。
「ん、ちょっとね」
微妙な表情の変化から、厄介ごとかもしれないな、と心の中で嘆息するも。
せっかく悠理が自分を頼ってくれたのならば、当然応えるという選択肢しかないわけで。
「まあ、詳しく聞かせて下さい。相談ぐらい乗りますよ」
にっこり笑って、話の続きを促した。

 

『日帰り旅を、ご一緒に』

 

悠理から相談を受けたのは、『開運グッズの購入』の手伝い。
剣菱のおじさんがTVで観て一目惚れしたそうで、どうしてもすぐに手に入れたいと言い出して聞かず。
すったもんだの末、悠理が購入しに行く羽目に陥ったそうで、不平たらたらだった。
「それにしても、わざわざ僕に相談に来ずとも良かったのでは?」
当然起こった疑問を口にすれば、悠理は眉間に盛大に皺を寄せ、ぐてんとテーブルへ突っ伏して。
「だあって、変にでっかいし中途半端に移動がめんどいから、そんなん付き合ってくれそうなのって清四郎だけだもん」
「は?でっかい、にめんどい、ですか?」
はて、と思わず聞き返してしまう。
「一体全体、おじさんは何を買うつもりなんですか」
「天狗」
「て、天狗ですか」
「そー」
顔を上げた悠理がホラ、と悠理が自分のスマホを取り出して操作してから、こちらへ画面を示す。
「地味にでかくて嵩張るからさ、それ持って歩きやらケーブルカーやらで移動って結構めんどいだろ」
「……確かにねぇ」
悠理の見せた画像を元に、自分のタブレットで探索した結果を眺め、ふむ、と唸る。
(確かに行き先が高尾山ではねぇ。確かに僕ぐらいでしょうな、日帰り登山への同行を気兼ねなく頼めるというのは)
常日頃から鍛錬を欠かさずにいる己を、心の中で称賛した。

そうして、翌日。
駅で待ち合わせた僕ら2人は、一応トレッキングを意識した服装で高尾山へ向かった。
悠理の派手な色彩の衣装も、登山用の服装ともなれば、むしろ普通にしっくり来るもので。
ショッキングピンクのアウターが妙に可愛らしく見えてしまう辺り、自分も相当彼女へ惚れこんでいるな、と改めて自覚。
「天気良くて良かったなぁ。さすがに紅葉にゃまだ早いけどさ」
「そうですね」
公共交通機関を乗り継ぎ、無事目的地の神社へ到着した僕らを待ち受けていたのは、高さ27㎝の立派な天狗。
正直、こんな立派な天狗像を神社で授与されるというのも凄い話しだが。
「……これですか」
「……これみたい」
なかなかの威圧感を持つそれを目の前にして、僕も悠理も思わずため息。
「しかし、確かに立派だとは思いますよ。ただおばさんのご趣味には、合わないようにも思えますがね」
「母ちゃん今フランス行っててさ、明日帰国すんだよね。だから今のうちに買って置いとく、って」
「ははあ、成程」
だからこそ是非とも今日中に入手したい、と悠理に泣きついたというわけか。
フリルとリボンとレースに彩られた剣菱夫妻の寝室の一角を、この天狗像が占めることのミスマッチ感に、眩暈を覚えつつ。
悠理がいうところの『嵩張る』荷物を、僕が持って歩き出す。
「悪いなマジで。疲れたら替わるから言って、持つから」
「ご心配なく、この程度で音を上げる程体はなまっちゃいませんからな」
そこそこ重量感のある開運グッズであることは確かだが、さすがに一応女性の悠理に持たせるには気も引けたし。
何よりも、悠理に気遣われるなんて経験は滅多にないので実のところ嬉しさもあって。
「さて、せっかくここまで来たんですから、蕎麦でも食べますか?評判の良い店があるそうですよ」
ちょうど見えてきた暖簾を指差すと、悠理はにっこり笑って頷いた。

昨日の夜に調べておいた店の蕎麦は、評判以上の美味しさで、悠理も満足げに平らげていた。
もちろんカップめんでも美味そうに平らげる彼女ではあるのだが、その食べっぷりは見ていて気持ちが良いもので。
満面の笑みで「ご馳走さんでした、また来るね!」と店主に挨拶する様は、周囲にもきっとよい印象だったろうと思う。
(良くも悪くも、ご令嬢の型からは大きく外れた規格外ですからなあ)
自分の隣、上機嫌で歩く悠理のふわふわ揺れる髪を横目で眺めつつ、口元が緩む。
「なあ清四郎、すっげー美味かったな、かき揚げ!あたい、また行きたい」
「おや、そんなに気に入りましたか?」
「うん!行くまでが結構めんどいけど、あんな美味いモン食えるなら、また行きたい」
相変わらずの食い気を全面に押し出して、楽しそうに先程の店の印象を話す悠理は、昨日むくれていた時とは大違いで。
惚れた欲目はあるにしても、とても可愛らしい。
(やっぱり今日、一緒に来て正解でしたな)
とにかく何かと言えば6人で行動するのが常となっている、自分たちだけれど。
たまにはこうして、(悠理には意識されずとも)2人きりになれるのは、本当に嬉しいものだ、と改めて思い。
「悠理」
「ん?」
鼻歌混じりに道を歩く悠理へ、声をかける。
「来月が紅葉の見頃です。そうしたら、また来ましょうかね」
「そだな。寒くなったら蕎麦もまた美味いだろうし、他にも美味いモン探そうぜ」
「ええ、必ず」
大きく頷いた悠理へ、にっこりと笑いかけて。
必ず、の言葉の中に『必ず2人で来ましょうね』という想いを込めて、僕は言った。


   *


次のデートも、ご一緒に。

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プロフィール
HN:
シスターM
性別:
女性
自己紹介:
国産ヒト型40代、夫・息子1人がいます。徒然なるまま…ではないですが、勢いに任せ、所謂二次創作をちまっと数年続けてます。
当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。
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