３ 伝わる響きの心 【海と静かな３のお題】

空飛ぶ青い何か。様からお借りした「海と静かな３のお題」、本日で最終です。
悠理一人称。何気に一番短いです（汗）

３　伝わる響きの心




波が伝える古の記憶、なんて。

そんなものは、知らないけれど。

心臓の鼓動みたいに、懐かしいって思うのは、本当。



海にぷかぷか漂っていると、ずっとそのままでいたくなる。

このまま海にずっといられたらいい、って思うことがある。

理由なんて、全然ないけど。



海に、呼ばれてるんだろうか。





　　　＊





……なんて、夕食の後で話してみたら。

思いっきり渋い顔をされた後、思いっきりデコピンされた。



痛ってぇ！って叫んだら、ぎゅうっと抱き締められて。

絶対に行かせません、なんて囁かれて。

どうしたらいいのかわかんなくて、固まってた。



普段自信家の奴が、妙に不安げになるのって、弱い。

そういう時の心の波が、やけに敏感に伝わってくる。

ひとりにしないで、って。

そばにいて、って。



いっつもあれだけ堂々としてて、世界は自分の思うがままなくせに。

何でこんな顔するんだか、正直、わかんない。



仕方ないから、ぎゅっと抱きついて、心の中で繰り返す。

───大丈夫だよ。

あたいはずっと、ここにいるよ。

お前の傍に、ずっといるよ。



届け、届け、って、願いながら。





　　　＊





海みたいに、大きな波よりも。

結局は。

大好きな人の腕に、包まれたいって、思うんだ。






（お題配布元：空飛ぶ青い何か。様）