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暇人が開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。漫画『有閑』の会長と運動部部長を推してます。
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前回のご報告から、珍しく間がさほど開いてない気がする管理人です。
……何というか、駄目駄目ですね。

管理人の持病は、現在も経過観察中。
先週輪切り検査をしてまして、GW明けに検査結果が出ます。
待つ状態って、なかなかにしんどいです。
そんなことをつらつらと考えていたら、何故か残念な脳が小噺を捻り出しまして。
低クオリティは覚悟のうえで、アップしてみたいと思います。

すっかり更新が滞ってしまっている中、ご訪問くださる皆様ありがとうございます。
どうぞ皆様、ご体調の管理にはお気を付けくださいませ。





夕食後のひととき、僕はソファへゆったり腰を落ち着け、グループの新事業関連の資料と睨めっこを繰り広げ。
その隣で、妻は流行りのバラエティ番組を見て、笑い転げていたのだが。
不意に僕へと寄り掛かり、上目遣いでこちらを見上げる。
「なあ、清四郎」
「ん?どうしました、悠理」
「バカンス行かね?」

僕の妻は、いつも唐突だ。

 

『時には、心のままに。』

 

「悠理。この僕のどこに、そんな余裕があるように見えるんですか」
僕は資料を纏めたタブレット端末を手から離してテーブルの上に置き、妻の髪を乱雑にかき混ぜる。
この少々乱暴にも見えるスキンシップを、何故か彼女は殊の外お気に入りのようで、今日もまた目を細めており。
さながら、彼女の愛猫たちの如く機嫌がいいのが、不思議なぐらい。
「ま、余裕綽綽っていう風には見えないけどさ。清四郎だもん、その気になりゃスグ時間ぐらい作れるだろ?」
にっこりと無邪気な子どものように笑む様は、幼い頃からちっとも変わらぬ愛らしさすら醸し出して。
全くいくつになっても、心臓に悪いぐらいの純粋さを持ち合わせているものだ、と明らかに場違いな事を思う。
「実はさー、魅録の母ちゃんからうちの母ちゃんにメール来たんだ。和貴泉倶楽部の新しいリゾートホテルがオープンするらしくて」
「おや、そうでしたか」
悠理が僕に示したのは、彼女専用のタブレット端末で。
義母から転送されたというメールを一読すれば、確かに彼女の言うとおりの内容が記載されていた。
「『是非ご夫妻で』って書いてあったプレオープンの日、父ちゃんと母ちゃんちょうど空いてないんだよ。ホラ、どっかの首相だかが来

るから」
「ああ、国賓扱いの首相夫妻が来日でしたな。確かお義父さんのご学友だと聞いてますよ、僕も」
「そ、それ。だから父ちゃんたちそっちにお呼ばれで魅録の母ちゃんのお誘い受けられないから、代わりに行ってらっしゃい、って」
何とかできね?と首を傾げる妻の愛らしさに、僕は既に陥落している。

僕は頭をフル稼働させつつ、わざとらしく溜息をひとつ零して見せてから。
「一時間程待ってもらえますか、悠理」
ふわふわの猫っ毛である妻の髪を、くしゃりと乱雑にかき混ぜる。
子猫のようなまっすぐな瞳で僕を見つめる妻に、笑顔と瞼へのキスを、ひとつ。
「この資料チェックと、業務の指示が終われば動けます。明日の朝早くに出られるよう、支度しておきなさい」
「……うんっ!さっすが清四郎、ありがとなっ!」
満面の笑みで朗らかに告げ、僕へ勢いよく抱き付く妻は、相変わらず細身だが抱き心地は最高だと思う。
スレンダーではあってもそれなりにスタイルは良い(自分が育てた自覚はある)し、肌も所謂ベビースキン。
さすがに本物の赤ん坊には遠く及ばないことぐらい承知しているが、肌理の細やかさにいつもうっとりしてしまう程で。
そんな妻が全力で抱き付いてきてくれるのだから、男としてはイロイロと面倒な事態に陥りかねないのを、精神力で封じて。
「では悠理、一度離れてください。僕はさっさと仕事を終わらせてしまいますから」
「あ、うんそうだな、ゴメン」
軽く妻の背を叩いて促すと、彼女はそうっと僕から離れ、するりと部屋の外へと出て行った。
恐らくは、実母へ出かける旨を報告に行くのだろうと推察した。
(では、僕も頑張らねばなりませんな)
放置していたタブレットを手に取れば、一瞬だけ、ふわりと柑橘系の優しい香りが鼻を擽った。
どうやら先程まで自分に抱き付いていた妻の、残り香らしい。
(……これはまた、集中を乱しかねませんなあ)
彼女の香りひとつでさえ、大人げなく反応してしまう己の未熟さに、苦笑いしつつ。
僕は有言実行せねば、と資料のチェックに取り掛かった。

 

   *


リゾートホテルでは、ひたすらに妻を構い倒してやろうと思う。
バカンスは、彼女の思うままに。
そしてバカンス先で睦み合うのは、僕の心のままに。

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プロフィール
HN:
シスターM
性別:
女性
自己紹介:
国産ヒト型40代、夫・息子1人がいます。徒然なるまま…ではないですが、勢いに任せ、所謂二次創作をちまっと数年続けてます。
当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。
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