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皆様、また期間が空いてしまって申し訳ありませんでした。
管理人です、ご無沙汰しております。
前回投稿させていただいた小噺に、思いがけずたくさんの拍手を頂戴いたしました。
コメントもいただけて、全て拝見しております。
本当に、ありがとうございます。
前回の小噺で、続編をご希望の方がおられましたが、実現しておりません(滝汗)。
本当にごめんなさい。
形にまとめることができれば良いのですが、今しばらくご猶予を。
どうぞよろしくお願いします。
そして、追記でアップするのは全く関係のない小噺です。
管理人が住まう地域ではまだなのですが、本州は既に休みに入ろうという時期だそうで。
思いついた小噺を、投下いたします。
浜辺を歩いて、波の音に耳を傾けて。
……なんて、無理。
『夏が来たから、駆け出したい。』
やって来た、夏休み。
今年の補習がなかったのは、勿論あたいの努力の賜物、なんて言えるわけもなく。
自分の隣でのんびりと、将棋の棋譜本なんてモンを眺める男のおかげ、で。
「……せいしろー」
「おや、どうしました」
声をかけながら、筋肉質な胴体へ背を預けてみると、こちらに流し目を寄越しつつ興味深げに片眉を上げ。
本を閉じてテーブルへと置き、あたいの頭を撫で始める。
毎日鍛えて硬くなってるその手に撫でられるのは、すっかり慣れたし好きだと思うので。
目を閉じて、感触を楽しむ。
「何だかタマやフクみたいですな、悠理。大人しく撫でられるままなんて、珍しい」
くすくすと笑い声を漏らしつつ、その動作をやめない清四郎に、頭を預けて。
「ほんの気紛れ。たまにゃいいだろ、別に」
目を閉じたままでそう言ってから、目を開けて見上げてみれば。
温かい光の漆黒の瞳が、こちらを見つめていたから。
自然に、口元が笑みを浮かべる。
「あのさ、休み前のべんきょ、見てくれて、さんきゅ」
「……どう致しまして。お前の役に立てたようで、何よりですよ」
ころんと口から零れた感謝の言葉に、一瞬目を見張ってから。
いつもの何かありげな顔じゃなく、穏やかな笑いを見せてくれた清四郎は。
ふ、とあたいと距離を詰め、額にそっとキスをひとつ。
「ところで悠理。明日から待望の夏休みですが、どこか行きたい場所はありますか?」
それから、唐突な質問をぶつけて来た。
「へ?」
「宿題は当然僕が面倒を見ますから、初日ぐらい遊びに行ってもいいでしょう。日帰りの近場になりますがね」
首を傾げたあたいにウィンクをひとつして、悪戯っぽく笑って見せる。
基本的に自分にも他人にも厳しくってスパルタで、飴1割の鞭9割って感じの清四郎とは、思えない言葉。
優しい言葉を贈られるのは、あたいがそれなりに近くにいるってこと、なんだろうか。
今更ながら、照れ臭いけれど嬉しくて。
「じゃ、海がいい!海で遊んで、海の家のイカ焼きとか焼きそばとか、たらふく食って来たい!」
今朝見たニュースの海水浴場の映像を思い浮かべながら、発言してみれば。
「何とも悠理らしいですな。海岸ドライブだの浜辺を散歩だの、一般的な事を言い出さない辺り」
清四郎が苦笑しつつ、頷いてくれる。
「だって海の家でイカ焼きとか、美味いじゃんか。清四郎と一緒に食ってさ、思いっきり泳ぐの、最高じゃね?」
楽しみだなー、とにんまり笑って見せれば、清四郎は溜息をついてから笑みを深めて、再度あたいの額へキスをした。
*
明日は、晴れれば嬉しい。
でも、例え雨だったとしても、きっと嬉しい。
一緒にいられるなら、それが一番嬉しいから。
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。