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清四郎の一方通行な感じを、倶楽部の4人から書いてみたかったのです。
でもお題は5…ってアンタ(汗)とりあえず見切り発車ですが、よろしくお付き合いいただければ幸いです。
最初は美童からですが…それっぽく書けてるか、激しく微妙な感があります。
1 ゆらり、ふわり、
ふわふわの髪が、揺れる。
*
今日も元気が取り得の彼女は、太陽みたいに笑ってる。
誰にでも分け隔てなく与えられる笑顔は、彼女の魂そのものの輝きで。
笑えるぐらい欠点だらけで、トラブルメーカーの子なのに。
それ以上に誰より優しくて、誰より可愛い娘だから。
だから皆、あの子が好き。
「悠理!」
僕の声に敏感に反応して、何の躊躇いもなく駆けて来る。
まるで、よく飼い慣らされた愛玩動物。
異性としての魅力は、お互い全く感じないけど。
自分には決してないものを持つ、僕と彼女は案外仲良し。
不思議だけれど、違和感はない。
「何だよ?美童」
「はい、これ。さっき差し入れでもらったんだけど、確かお前、これ好きだったよね?」
「うわ!クリオロのチーズケーキじゃんか!いいのか?」
「勿論。僕あんまり食べて太っちゃうの拙いしね、良かったら悠理食べなよ」
天真爛漫な、悠理の笑顔は綺麗だと思う。
ただしそこに、通常の異性へ抱く感情は欠片もなくて。
やっぱり僕が抱くのは、可愛いペットに抱くような親愛の情。
温かい、気持ち。
自分がこんな気持ちになるのは、相手がこの子の時だけ。
「貰う貰うー!美童、あんがとな!」
「どう致しまして」
悠理の言葉に、笑顔で頷くと。
目に付いたのは、ふわふわの髪。
ああ、そういえば。
この髪がやけにお気に入りなのか、いつも撫でてる奴がいる。
さり気ないフリをして、でも本当は真剣。
ふと、奴のいつも座ってる場所に視線を向けて。
(ちょ、ちょっと清四郎、お前っ!?)
あまりの事態に、しばし呆然。
悠理が僕の所に来たのは、単に呼ばれたからなのに。
満面の笑みを見せるのは、お菓子をもらったからなのに。
周囲が思わず3歩引くぐらい、無表情の裏に隠した不機嫌オーラ。
冷静沈着な生徒会長は、一体どこに行ったんだ?
嗚呼、もう。
(バレバレだよ、お前って!)
文武両道に秀でていたって、多趣味多才だからって。
事恋愛沙汰に関しては、笑っちゃうぐらい不器用。
更に相手が悠理では、気の毒な程に苦戦を強いられて。
計画通りに事が捗らず、微かに眉間に皺が寄っているのがバレバレ。
楽しくて、仕方ない。
仕方ないから、ちょっとだけ手助け。
「そうだ悠理、確かそのケーキって、清四郎も美味しいって言ってなかったっけ」
「ん?そだったか?」
「僕、そう聞いた気がするなあ。あいつにも、あげといて」
「わかった。行って来る」
悠理はこんな時、大抵素直に行動に移す。
良くも悪くも素直な分、僕の言葉も鵜呑みにするから。
ああ、ホラ。
悠理が駆け寄って来たからって、目に見えて機嫌が良くなってるねアイツ。
眉間の皺が綺麗に消えて、営業スマイルが営業に見えないよ。
「悠理、何か用ですか?」
「コレ、美童からもらったんだ。だからお前にもやる」
「ありがとうございます。でもいいんですか?確かお前の好物でしょう、ここのケーキは」
「そうだけど、お前も食えよ。嫌いか?」
「いいえ、いただきますよ」
……本当に、わかりやすく機嫌がいいな。
悠理は早速「いっただっきまーす!」と声を上げ、ケーキにかぶりつく。
清四郎は一見困ったような顔してるけど、口元がだらしないぐらい緩みっぱなし。
「悠理、こぼしてますよ」何て、世話を焼くのすら楽しいみたいで。
まあ頑張れよ、と心の中だけでエールを送ってやった。
くすりと思わず笑みを零した僕の元に、さり気なく置かれたコーヒー。
可憐がウィンクをして「ナイスフォローね」と囁いた。
ああ、さすがに可憐にもバレバレだよね、清四郎の片思いなんて。
情緒障害男の、笑えるぐらい不器用なアプローチを。
たまには応援してあげようか。ね?
*
ふわふわの髪が、揺れる。
悠理が跳ね回る度、揺れる。
あの子にドキドキしっぱなしの、男の心と同じように。
(お題配布元:空飛ぶ青い何か。様)
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。