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なお7月のお礼文その1『甘酸っぱい日に』は、相互リンクしていただきました『HANA HANA HANA』様(管理人:まる様)に貰っていただきましたので、こちらにログは掲載いたしません。まる様がサイトにアップして下さっていますので、ご覧になる方はリンクからどうぞ。
テーマは『浴衣』でしたが、いつの間にやら『浴衣デート』にクラスチェンジしております。ご了承下さい。
忘れられない、色。
『鬼灯(ほおずき)』
行ってみませんか、と誘われたのは2時間前。
今年の柄はタマフクじゃなく、紺地に白と牡丹色の二色の牡丹。
絶対に似合うって、出入りの呉服屋が勧めてくれた古典柄。
柄と合わせた牡丹色の帯は、グラデーションが綺麗。
控え目に輝く帯締めの横に、そっとタマフクブローチも挟んで。
髪は捻ってアップして、珊瑚の簪がアクセント。
案外、似合わなくもない……かな?
歩く度、黒塗りの下駄がからころ鳴る。
誘ってくれた相手は、紺地の縞の浴衣を自然に着こなして。
目を細めて、綺麗ですよと耳打ちしてくれた。
お世辞だって知ってても、頬が緩む。
「はぐれては困りますからね」
そっと握られた手から、頬まで熱が通っていく。
力強くて優しい感触が、嬉しくて。
たくさんの人で賑わう境内を、ゆったりと歩く。
四万六千日分の功徳、と言われてもぴんと来ないけど。
赤い果実がたわわに実る、鉢植えを眺めるのは楽しくて。
珍しく、露店よりもそちらに集中していた。
木陰で引き寄せられたのは、想定外。
視界を埋め尽くすぐらい近づいた顔に、慌てて目を閉じる。
唇に、ふんわりと柔らかい感触。
離れたことを確認して、目を開けた。
確信犯の笑顔は、目元が微かに赤くて。
「鬼灯色してる」
そっと手を触れて、言ってみた。
「……お前もですよ」
仕返しとばかりに、頬に触れられて。
もう一度、顔が近づく。
そっと目を閉じて、もう一度柔らかな温もりを受け入れた。
*
今年の果実は。
忘れられない、夏の色。
(掲載期間 2008.7.7~2008.7.13)
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。