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暇人が開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。漫画『有閑』の会長と運動部部長を推してます。
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悠理一人称。切なく甘く、を目指したんです…確か(涙)


 運命って、信じますか?

 

 『オンリーワン』

 

「僕の事をご存知ないのはわかっています。
 だから今から、知っていただきたいんです」

唐突な告白の相手は、初対面の後輩。
頬を染めて、まっすぐにこっちを見て。

「お願いします。あなたをずっと、見ていたいんです。
 だから少しでも、僕の事を知ってもらいたいんです。

 僕と、お付き合いしていただけませんか?」

「ごめんな。あたいには、無理だ」

即答は、あたいの誠意。
はっきり意思を示すことで、相手が苦しむ時間を少しでも減らすため。
案の定、後輩の子は無言で頭を下げて、走り去った。

(………ホントに、ゴメン)

遠くなった背中を目で追って、少しだけ胸が軋んだ。

 

    *

 

目を閉じると、離れない顔。
真っ直ぐに 真剣に。
芽生えた気持ちを、正面からぶつけてくれた人。

(……ごめんね)

心の中だけで、謝る。

 


「何を考えているんですか?」

思考を打ち破ったのは、聞き慣れた声。

目を開けると、漆黒の瞳が見つめてる。
気遣わしげでもあり、探るようでもある視線は鋭くて。
きっとあたいが考えてる事ぐらい、すぐに見通してしまいそうで。

「……今日あった事、考えてた」

嘘にならない程度にぼかして、答えてみた。

そうですか、と吐息混じりの声がして。
同時に、ぎゅうっと強く抱き締められて。
こめかみに感じた、唇の温もり。

「絶対に、放しません」

微かに掠れて、震える声。
自信家の男が漏らすとは思えぬ、心細げな儚さを宿した声。
ぞくりと自分の背を駆け抜けるのは、背徳的な喜悦。

「……清四郎?」

腕の中から呼んでみれば、相手の吐息が微かに当たる。
漆黒の瞳の光は、強く鋭いままなのに。
宿る色は、情欲を帯びて。

いつの間にか、自分の全ても相手を求める。

「せい……」
「悠理」

切羽詰った相手の声が、苦しいぐらいに響く。

「お前は、僕のものです」
「清四郎……」

「絶対に逃がさない。絶対に……この手から、離したりしない」

名前を呼びかけようとした唇ごと、言葉を封じ込められた。

 

 

「不安に、なりますね」
「何が?」

清四郎が、ゆっくりと息を吐いて、一言。
あたいは広くて逞しい胸に体を預け、目を閉じて。
言葉の続きを促した。

「悠理が綺麗になっていくから」
「………そう、かな」
「ええ、とても。……眩しいくらいに、綺麗になりましたよ、お前は」

大きな手は、あたいの髪をいつもみたいに弄ぶ。
無理強いしない、優しい感覚が好きで、奴の好きに任せておくと。
吐息のような笑い声がひとつして、頬をふんわり包まれた。

目を開けると、黒い瞳がこっちを見てた。

「清四郎……?」
「───悠理」

思いがけず真剣な表情と、声。

「絶対に、僕はお前を離さない」

頬を包む手に、力が篭る。

「もう、駄目なんだ」
「清四郎」

「お前に出会ってしまった僕は、もうずっと離れられない。
 お前を失うことなんて……できないんだ。

 今も、これからも、ずっと」

狂気すら伺わせる程に、真剣な清四郎の瞳が。
あたいの心を、ぎゅうっと掴んで離さない。
段々と熱を帯びる、手のように。

「……清四郎」

あたいは両手を、奴の胴体へ回して、しがみつく。

「あたいも一緒。
 あたいももう……お前とは、離れられない」

「悠理……!」

荒々しく、激しく。
互いの呼吸を奪い合うように、接吻を繰り返して。
堕ちていった。

 

    *

 

 もしかしたら。
 出会っては、いけなかったのかもしれなくて。
 でも、他の誰でもないあなたに、出会ってしまった。

 だからもう、手遅れ。

 あなたしか、いらない。

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» 清四郎・・・
かな~りキてますねぇ!笑
ホントにこの2人って出会ってなければ、こんなに狂気なまでに惹かれ合うコトなかったんですかね?
私はきっと何所かで出会って、やっぱり運命的に堕ちると思うんですよね♪←願望?爆
りん 2008/07/20(Sun)00:33:58 編集
» キてますねー(笑)
>りん様
悠理も清四郎も、思い込み度が激しいんじゃないかと思うんですよ。
一度真剣に恋したら、その相手しか見えてない感じで。
実際にこんな2人で恋愛したら、周りも色々大変そうな気がします(汗)

運命的に堕ちる…いいですねぇ♪

コメントありがとうございました!
M@管理人 2008/07/21(Mon)01:01:03 編集
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シスターM
性別:
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自己紹介:
国産ヒト型40代、夫・息子1人がいます。徒然なるまま…ではないですが、勢いに任せ、所謂二次創作をちまっと数年続けてます。
当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。
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