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暇人が開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。漫画『有閑』の会長と運動部部長を推してます。
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前作の続きのようなお話です。
途中美×可要素ありますので、苦手な方は閲覧をご遠慮願います。


 甘い香りのその中で。
 語らいましょうか。


 『カフェオレランチ』


街中の、オープンテラス。
悠理が到着したときには、既に相手が待っていた。

「可憐!野梨子!」
「悠理、案外早かったわね」
「お待ちしてましたわよ」

母親の宝石店を手伝う可憐は、店の制服姿。
白鹿流を継ぐべく勉強中の野梨子は、小花をあしらった小紋姿。
そして、悠理はシンプルなパンツスーツ姿。
学生時代と違う3人の、現在。

「やっぱ制服着てっと、可憐ってキャリアウーマンっぽいよなぁ」
「あら、ご挨拶ね。そういうあんたも、スーツなんか着てるとご令嬢っぽいわよ」
「まあ、2人とも。それにしても、3人でのランチは久し振りですわよね」
「本当よねー、野梨子が最近忙しかったものね。ひと段落着いたの?」
「ええ、お陰様で。悠理はいかが?お仕事は」
「あたいは別に?どうせ母ちゃんの代理だけだから、暇してるのと一緒だよ」
「あら、結構な事で羨ましいわ」

タイプは違えど、3人とも目の覚めるような美女であるのだから、周囲の視線を集めるのは当然。
しかし可憐は賞賛を喜んで受け流し、野梨子は無視し、悠理は無関心というか気づかない。
だから3人は、いつものようにお喋りに興じる。
手にしたカップの中身は、昔のような、可憐のお茶ではないけれど。

「なあなあ、今日の飯ってどこ行くんだ?」
「ウフフ、任せてよ。取って置きの場所、見つけたんだから!」
「まあ、楽しみですわ」
「では行きましょ」
「おうっ!」

頷きあって、3人は席を立つ。
3人が去った後には、仲良くお揃いの、カフェオレカップが3つ。
甘い香りの名残りが、漂っていた。


   *


仕事に追われる日々の中。
部下に案内されてやって来たのは、気の置けない仲の友。

「……よう」
「珍しいですね、魅録。あなたがアポなしで来るとは思いませんでしたよ。今日お仕事は?」
「休みを貰ってきたんだ。ちょっと、相談に乗ってもらいたくてな」
「……そうですか、わかりました」

友人の言葉に、清四郎は頷くと、内線で部下へコール。

「所用が入りましたので、早退します。歩きますので、車は必要ありませんよ」

 

「悪かったな」
「いいえ、気になさらず」

会社から徒歩でやって来たのは、オフィス街の小さなフレンチレストラン。
昼休みを過ぎて、客もまばらな店内には、柔らかな明かりが差し込む。
清四郎と魅録は食事を終えて、コーヒータイム。
美形2人が語らう様は、周囲の女性客からは、やたらと注目されているのだけれど。
全く意に介さずに、2人は一杯を楽しむ。

「で、相談とは?」
「ああ……」

言いよどむ友人の様子を見て取り、清四郎は微笑む。

「時間はたっぷりありますから、気の済むまで悩んで下さい」

そう言って、窓の外に視線を向けて。
カップを持つ手が、止まった。

「……魅録」
「ん?」

「どうします?声をかけますか?」

彼の視線の先には、遠目にも鮮やかな3人の美女。
しかし、清四郎の視線が追っているのは、うち1人だけで。

「相変わらずお前さんは、悠理だけは見つけるの早いなぁ」
「当然ですよ。そうでもしないと、あいつを捕まえてはおけませんからね」

魅録の苦笑いにも、清四郎は涼しい顔。
それがまた、魅録には面白くて仕方ないのだけれど。
清四郎も魅録の反応には既に慣れきっているのか、あまり関せずに携帯を取り出し、示して見せる。
画面に表示されていたのは、魅録もよく目にする番号で。
魅録は、にやりと笑った。

「───ああ」
「いいんですか?」

清四郎の問いかけに、魅録は頷いた。

「一回で話が済んで、好都合だ」


   *


「可憐、何かありましたの?」

野梨子にズバリ指摘され、可憐が言葉に詰まった。
何かを察していたらしい悠理も、野梨子に続く。

「あたいたちでよければ、いつでも相談に乗るけど?」
「悠理、野梨子……」

可憐の表情が不意に崩れ、羞恥を含んだ可愛らしい笑みが現れて。

「これからお茶でもしながら話そうと思ったんだけど、実はね……」

その決意を不躾に砕いたのは、悠理の携帯。
メールの着信を知らせるメロディが、結構な音量で流れた。
途端に可憐が言葉に詰まり、野梨子は眉をきゅっと顰めた。

「もう、悠理!せっかく可憐が話中ですのよ、気をつけてくださいな」

詰るような野梨子の言葉に、悠理は大慌てでバッグを探った。

「わ、ゴメン!って……あ!」

悠理は画面を確認してから、2人へ向き直って。

「清四郎と魅録、今一緒なんだって。ホラ」

言うなり、近くの店を指差す。
その先には、窓際の席で微笑む、2人の男。

「合流する?」
「……そうね」
「まあ、可憐、いいんですの?」

気遣わしげな野梨子の声に、可憐は頷いて。

「あんたたちが一緒の方が、手っ取り早いわ。行きましょ」

颯爽と、歩き出した。


   *


集合した、倶楽部メンバー(-1)に知らされたものは。
美童と、可憐の、華燭の典。
魅録の相談は、2次会の会場。

倶楽部活動、開始の合図。
その傍らで、優しく香るカフェオレが、優しい気持ちで友を祝う。

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» 美女3人♪
こぉーんな美女3人で居たらアビナイですよねぇ。
イロンナ意味で!声かければ悠理にノックアウトでしょうし、その場面を男性陣に見つかれば更に命のキケンがっ(爆)

そして、清四郎ってやっぱり悠理にベタ惚れ~。
無意識に探してるんでしょうね♪
美×可も王道な美男美女カプでセレブw
幸せな午後の一時って素敵ですね。
あ!やっぱり幸せな朝があったからなんですね。
頬染めてる可憐が可愛いです。
りん 2008/06/15(Sun)23:36:07 編集
» たしかにアブナイ美女3人
りん様、毎回丁寧なコメントをありがとうございます!
清四郎は悠理限定のレーダーか何かついてそうな感じになってます(苦笑)が、
これも愛ってことで。清×悠推奨サイトですし…。

何とか倶楽部6人の幸せな姿を書いていきたいな、と思います。
…い、いつか。
M@管理人 2008/06/16(Mon)22:48:48 編集
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自己紹介:
国産ヒト型40代、夫・息子1人がいます。徒然なるまま…ではないですが、勢いに任せ、所謂二次創作をちまっと数年続けてます。
当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。
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