[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
前作の続きのようなお話です。
途中美×可要素ありますので、苦手な方は閲覧をご遠慮願います。
甘い香りのその中で。
語らいましょうか。
『カフェオレランチ』
街中の、オープンテラス。
悠理が到着したときには、既に相手が待っていた。
「可憐!野梨子!」
「悠理、案外早かったわね」
「お待ちしてましたわよ」
母親の宝石店を手伝う可憐は、店の制服姿。
白鹿流を継ぐべく勉強中の野梨子は、小花をあしらった小紋姿。
そして、悠理はシンプルなパンツスーツ姿。
学生時代と違う3人の、現在。
「やっぱ制服着てっと、可憐ってキャリアウーマンっぽいよなぁ」
「あら、ご挨拶ね。そういうあんたも、スーツなんか着てるとご令嬢っぽいわよ」
「まあ、2人とも。それにしても、3人でのランチは久し振りですわよね」
「本当よねー、野梨子が最近忙しかったものね。ひと段落着いたの?」
「ええ、お陰様で。悠理はいかが?お仕事は」
「あたいは別に?どうせ母ちゃんの代理だけだから、暇してるのと一緒だよ」
「あら、結構な事で羨ましいわ」
タイプは違えど、3人とも目の覚めるような美女であるのだから、周囲の視線を集めるのは当然。
しかし可憐は賞賛を喜んで受け流し、野梨子は無視し、悠理は無関心というか気づかない。
だから3人は、いつものようにお喋りに興じる。
手にしたカップの中身は、昔のような、可憐のお茶ではないけれど。
「なあなあ、今日の飯ってどこ行くんだ?」
「ウフフ、任せてよ。取って置きの場所、見つけたんだから!」
「まあ、楽しみですわ」
「では行きましょ」
「おうっ!」
頷きあって、3人は席を立つ。
3人が去った後には、仲良くお揃いの、カフェオレカップが3つ。
甘い香りの名残りが、漂っていた。
*
仕事に追われる日々の中。
部下に案内されてやって来たのは、気の置けない仲の友。
「……よう」
「珍しいですね、魅録。あなたがアポなしで来るとは思いませんでしたよ。今日お仕事は?」
「休みを貰ってきたんだ。ちょっと、相談に乗ってもらいたくてな」
「……そうですか、わかりました」
友人の言葉に、清四郎は頷くと、内線で部下へコール。
「所用が入りましたので、早退します。歩きますので、車は必要ありませんよ」
「悪かったな」
「いいえ、気になさらず」
会社から徒歩でやって来たのは、オフィス街の小さなフレンチレストラン。
昼休みを過ぎて、客もまばらな店内には、柔らかな明かりが差し込む。
清四郎と魅録は食事を終えて、コーヒータイム。
美形2人が語らう様は、周囲の女性客からは、やたらと注目されているのだけれど。
全く意に介さずに、2人は一杯を楽しむ。
「で、相談とは?」
「ああ……」
言いよどむ友人の様子を見て取り、清四郎は微笑む。
「時間はたっぷりありますから、気の済むまで悩んで下さい」
そう言って、窓の外に視線を向けて。
カップを持つ手が、止まった。
「……魅録」
「ん?」
「どうします?声をかけますか?」
彼の視線の先には、遠目にも鮮やかな3人の美女。
しかし、清四郎の視線が追っているのは、うち1人だけで。
「相変わらずお前さんは、悠理だけは見つけるの早いなぁ」
「当然ですよ。そうでもしないと、あいつを捕まえてはおけませんからね」
魅録の苦笑いにも、清四郎は涼しい顔。
それがまた、魅録には面白くて仕方ないのだけれど。
清四郎も魅録の反応には既に慣れきっているのか、あまり関せずに携帯を取り出し、示して見せる。
画面に表示されていたのは、魅録もよく目にする番号で。
魅録は、にやりと笑った。
「───ああ」
「いいんですか?」
清四郎の問いかけに、魅録は頷いた。
「一回で話が済んで、好都合だ」
*
「可憐、何かありましたの?」
野梨子にズバリ指摘され、可憐が言葉に詰まった。
何かを察していたらしい悠理も、野梨子に続く。
「あたいたちでよければ、いつでも相談に乗るけど?」
「悠理、野梨子……」
可憐の表情が不意に崩れ、羞恥を含んだ可愛らしい笑みが現れて。
「これからお茶でもしながら話そうと思ったんだけど、実はね……」
その決意を不躾に砕いたのは、悠理の携帯。
メールの着信を知らせるメロディが、結構な音量で流れた。
途端に可憐が言葉に詰まり、野梨子は眉をきゅっと顰めた。
「もう、悠理!せっかく可憐が話中ですのよ、気をつけてくださいな」
詰るような野梨子の言葉に、悠理は大慌てでバッグを探った。
「わ、ゴメン!って……あ!」
悠理は画面を確認してから、2人へ向き直って。
「清四郎と魅録、今一緒なんだって。ホラ」
言うなり、近くの店を指差す。
その先には、窓際の席で微笑む、2人の男。
「合流する?」
「……そうね」
「まあ、可憐、いいんですの?」
気遣わしげな野梨子の声に、可憐は頷いて。
「あんたたちが一緒の方が、手っ取り早いわ。行きましょ」
颯爽と、歩き出した。
*
集合した、倶楽部メンバー(-1)に知らされたものは。
美童と、可憐の、華燭の典。
魅録の相談は、2次会の会場。
倶楽部活動、開始の合図。
その傍らで、優しく香るカフェオレが、優しい気持ちで友を祝う。
04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。