１ 静かに波が打ち寄せて 【夏の夜の海５のお題】

大変ご無沙汰しておりました、管理人シスターＭでございます。
7日夕方に帰宅して、その日の深夜にカテゴリ追加まで作業をしておきながら、睡魔に負けてしまいました…。
10日間程の間に、車で実家ズツアーをこなし、更に駆け足で上京までするハードスケジュールをこなす羽目となり、体へのダメージも思いの他多かったようです…。失礼いたしました。

ということで、漸く更新を再開。
性懲りもなく空飛ぶ青い何か。様からお借りした「夏の夜の海5のお題」です。超短編。
最初は清四郎一人称です。
そして今回は超短編で綴ってみたら、既に完成してしまいました（汗）ので、一気にアップしてみます。
興味のある方は、ある程度時間が経過してからお越し下さいませ。

１　静かに波が打ち寄せて

月明かりの下。
月明かりの中に、宿る面影。

　　　＊

去年は、皆でやって来た、海。

昼間誰よりもはしゃいで、走り回って。
なのに夜は、いつの間にか姿がなくて。

辿ったのは、微かな歌声。
少し控え目な、綺麗なアルト。
寄せる波にも、溶け込みそうな。

月明かりの下、ぼんやりと。
細い肩が、月を捉えて。
そのまま、溶けてしまいそうで。

 

抱き締めたのは、衝動。

「何？」
「何でもありません」

「……変なの」

抱擁を拒まなかったのは、何故？

　　　＊

今年は、ひとりでやって来た、海。

月明かりの下。
月明かりの中に、面影はなく。
辿るアルトの旋律も、届かない。
波にかき消され、響かない。

僕は、ひとり。





（お題配布元：空飛ぶ青い何か。様）