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暇人が開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。漫画『有閑』の会長と運動部部長を推してます。
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調子に乗って、前作の続きです。
途中美×可及び魅×野要素ありますので、苦手な方は閲覧をご遠慮願います。

 午後のひととき。
 語らいの中で、一杯。 

 

 『アレンジエスプレッソ』

 

思いがけない朗報の後、さっそく相談会と相成って。
5人で訪れたのは、黄桜家。
美童のメールや可憐の話を元に、大まかなスケジュールを立てる。

「……ふむ、とりあえずこんな所ですね。後で全員にメールを入れますから、よろしく」

全員の相談をパソコンで纏めていた清四郎が、一声。
それを合図に、本日の会議は終了。

「ありがとう、みんな。どうもお疲れ様」

可憐のにこやかな声と、トレイに乗せられた5つのグラス。
ベストタイミングで用意がなされているのは、さすがと言うべき。

「お茶淹れたから、一服してね」
「わーい!ありがと可憐!」
「こら悠理、落ち着いて下さい。ありがとうございます、可憐」
「全く悠理は変わんねぇなあ。あ、可憐サンキュー」
「うふふ、だって悠理ですもの。まあ可憐、これは何ですの?」

野梨子が興味深げに眺めていると、可憐はウィンクひとつ。

「アレンジエスプレッソよ。友達がバリスタをやっててね、面白いから教わったの」
「へー……」

目を輝かせ、悠理がまず一口。
途端に歓声を上げ、味を褒めた。

「美味ーい!さすが可憐!」
「ウフフ、ありがと悠理」

子供のような賞賛を受け、可憐が嬉しそうに笑う。
これだけ素直に手放しで褒められれば、確かに誰も悪い気はしないだろうと思われて。
他の3人もそれぞれ手を伸ばし、口に含む。
見ただけではわからなかったが、エスプレッソと柑橘系の味がふわりと口の中に広がって。
絶妙なバランスと、適度な甘さが心地良かった。

「見事ですね、相変わらず。さすが可憐というべきですな」
「本当だ、これなら店が開けそうだな」
「この味……パッションフルーツですの?」
「そう、あとはキャラメルソースとか、コーヒーの花の蜂蜜とか。名前が素敵なの、『絆』っていうんですって」
「まあ、素敵ですわね。それにとっても美味しいですわ」

野梨子が尋ねると、可憐が頷く。
和やかな空気が、漂う。

「こんなのって、久々よねぇ」
「そうですわね」

思いを馳せるのは、かつての学生時代。
暇潰しと称して、今では考えられないような事をたくさん経験した、仲間たち。
かけがえのない、友人たち。

今自分達がここで笑い合っていられるのも、彼らのおかげ。
誰ひとりが欠けても、成り立たなかったであろう関係。

「……いいよな。こういうの」

悠理がぽつり、零した台詞。
みんな静かに、頷いた。

 


「じゃ、次の集まりには美童も交えてですね、可憐」
「そうね、あっちの都合がつき次第連絡するわ。じゃ、悠理もまたね」
「おう!またな」
「了解。あ、野梨子、送っていくか?」
「ええ、お願いしますわ、魅録」

可憐の家を辞して。
魅録は野梨子と、悠理は清四郎と共に、歩き出す。

「……不思議」
「何がですか?」
「いつの間にか、全員倶楽部内で、くっついちゃってるから」

悠理はそう言うと、くすくすと笑う。
彼女が楽しそうにしている様子が可愛らしくて、清四郎の顔にも笑みが浮かぶ。

「でもさ」

悠理は言葉を続けた。
心持ち曇った表情を認め、清四郎も静かに耳を傾ける。

「これからも、一緒に……たまには集まって、騒いだり、できっかな?」

「大丈夫ですよ」

清四郎は、悠理の頭を撫でながら答えた。

「僕たちは、ずっとこのままですよ。例え住む地が離れたとしても、互いに会いに行くはずですから」
「そっかな」
「ええ、勿論です」

不安げに清四郎を見上げてくる悠理に、清四郎はにっこりと頷いて。
彼女の小さな手を、ぎゅっと握った。
驚きで目を丸くする悠理へ、彼は続ける。

「それに、僕は絶対に、おまえの傍にいますからね」

悠理の顔が、音を立てそうな勢いで、赤く染まった。


   *


 今も確かに。
 6人の絆が、ある。

 絶妙な調和を保って、ずっと。

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» 可憐のコーヒー
飲んでみたぁ~い♪美味しそう!←最初の感想がココか(笑)
でも、世話焼き姉さん本領発揮ですね!自分の事なのに、それだけに気を取られずちゃんと周りを見てる辺り、流石可憐。
美童は一生頭上がんないでしょうねぇ。爆
ここの3組は全員見事に男性陣が振り回されるんでしょうね。
ラストの寂しそうな悠理対しての優しい清四郎もカッコイイw
皆HAPPYで嬉しいです。
りん 2008/06/17(Tue)00:16:59 編集
» 私も飲んでみたいです<可憐さんのコーヒー
りん様も思いましたか!美味しそうだと!
私も思います(照)
「絆」というタイトルと、さっぱり美味しそうな雰囲気がたまらなくて、今回レシピをちょっとお借りして書きました。
実際には材料が多く、作るにも手間のかかる一品ですが、可憐ならきっと苦もなくこなせそうな気がするんですよね。
有閑倶楽部といえば、可憐のコーヒーというイメージがどうしてもありまして…。
でもどうしても、清×悠シーンを入れてしまうのがお約束です。
いつもご丁寧なコメント、ありがとうございます!
M@管理人 2008/06/17(Tue)16:32:22 編集
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シスターM
性別:
女性
自己紹介:
国産ヒト型40代、夫・息子1人がいます。徒然なるまま…ではないですが、勢いに任せ、所謂二次創作をちまっと数年続けてます。
当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。
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