[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
途中美×可及び魅×野要素ありますので、苦手な方は閲覧をご遠慮願います。
午後のひととき。
語らいの中で、一杯。
『アレンジエスプレッソ』
思いがけない朗報の後、さっそく相談会と相成って。
5人で訪れたのは、黄桜家。
美童のメールや可憐の話を元に、大まかなスケジュールを立てる。
「……ふむ、とりあえずこんな所ですね。後で全員にメールを入れますから、よろしく」
全員の相談をパソコンで纏めていた清四郎が、一声。
それを合図に、本日の会議は終了。
「ありがとう、みんな。どうもお疲れ様」
可憐のにこやかな声と、トレイに乗せられた5つのグラス。
ベストタイミングで用意がなされているのは、さすがと言うべき。
「お茶淹れたから、一服してね」
「わーい!ありがと可憐!」
「こら悠理、落ち着いて下さい。ありがとうございます、可憐」
「全く悠理は変わんねぇなあ。あ、可憐サンキュー」
「うふふ、だって悠理ですもの。まあ可憐、これは何ですの?」
野梨子が興味深げに眺めていると、可憐はウィンクひとつ。
「アレンジエスプレッソよ。友達がバリスタをやっててね、面白いから教わったの」
「へー……」
目を輝かせ、悠理がまず一口。
途端に歓声を上げ、味を褒めた。
「美味ーい!さすが可憐!」
「ウフフ、ありがと悠理」
子供のような賞賛を受け、可憐が嬉しそうに笑う。
これだけ素直に手放しで褒められれば、確かに誰も悪い気はしないだろうと思われて。
他の3人もそれぞれ手を伸ばし、口に含む。
見ただけではわからなかったが、エスプレッソと柑橘系の味がふわりと口の中に広がって。
絶妙なバランスと、適度な甘さが心地良かった。
「見事ですね、相変わらず。さすが可憐というべきですな」
「本当だ、これなら店が開けそうだな」
「この味……パッションフルーツですの?」
「そう、あとはキャラメルソースとか、コーヒーの花の蜂蜜とか。名前が素敵なの、『絆』っていうんですって」
「まあ、素敵ですわね。それにとっても美味しいですわ」
野梨子が尋ねると、可憐が頷く。
和やかな空気が、漂う。
「こんなのって、久々よねぇ」
「そうですわね」
思いを馳せるのは、かつての学生時代。
暇潰しと称して、今では考えられないような事をたくさん経験した、仲間たち。
かけがえのない、友人たち。
今自分達がここで笑い合っていられるのも、彼らのおかげ。
誰ひとりが欠けても、成り立たなかったであろう関係。
「……いいよな。こういうの」
悠理がぽつり、零した台詞。
みんな静かに、頷いた。
「じゃ、次の集まりには美童も交えてですね、可憐」
「そうね、あっちの都合がつき次第連絡するわ。じゃ、悠理もまたね」
「おう!またな」
「了解。あ、野梨子、送っていくか?」
「ええ、お願いしますわ、魅録」
可憐の家を辞して。
魅録は野梨子と、悠理は清四郎と共に、歩き出す。
「……不思議」
「何がですか?」
「いつの間にか、全員倶楽部内で、くっついちゃってるから」
悠理はそう言うと、くすくすと笑う。
彼女が楽しそうにしている様子が可愛らしくて、清四郎の顔にも笑みが浮かぶ。
「でもさ」
悠理は言葉を続けた。
心持ち曇った表情を認め、清四郎も静かに耳を傾ける。
「これからも、一緒に……たまには集まって、騒いだり、できっかな?」
「大丈夫ですよ」
清四郎は、悠理の頭を撫でながら答えた。
「僕たちは、ずっとこのままですよ。例え住む地が離れたとしても、互いに会いに行くはずですから」
「そっかな」
「ええ、勿論です」
不安げに清四郎を見上げてくる悠理に、清四郎はにっこりと頷いて。
彼女の小さな手を、ぎゅっと握った。
驚きで目を丸くする悠理へ、彼は続ける。
「それに、僕は絶対に、おまえの傍にいますからね」
悠理の顔が、音を立てそうな勢いで、赤く染まった。
*
今も確かに。
6人の絆が、ある。
絶妙な調和を保って、ずっと。
04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。