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今回は哀悼花様からお借りした『学校生活で5つのお題 vol15』にチャレンジいたします。
サイト様ではテーマとして『緊張する場所』と記載されているのですが、私の文章ですと、どう見てもそうならない可能性が物凄く高いです(爆)何せ有閑倶楽部の面々ですし、今更校内のどっかで緊張ってのもおかしいですし…と自分に言い聞かせてるのですが、どうも無理のようです。
と申しますか、先程書き上げた今回のSSで、既に緊張感皆無だったんですよ(涙)
しかし修正不可能なようなので、このまま続けさせていただきます、ご容赦を。
今回は、無事卒業式を間近に控えた辺りの妄想です。送辞じゃなくて答辞ですよ(苦笑)清四郎さん。
01. 校長室
漸く、辿り着いた位置。
*
「いやあ菊正宗君、全文聞かせて貰ったよ。とても立派な答辞だったねえ」
「恐れ入ります、校長」
卒業式のリハーサルを終えた僕が呼び出されたのは、校長室。
目の前には、僕ら6人全員が揃って留年させられるという屈辱を味わう元凶となった男。
「これで、式の当日も大丈夫だね。君ら6人がとうとう卒業かと思うと、感無量だよ」
「……恐れ入ります」
僕らの派手な言動に、思い切り頭を抱えていたはずのこの男。
嫌ならさっさと卒業証書を添えて追い出してくれさえすれば、良かったのに。
僕は溜息を隠して、一礼する。
「本番は是非、よろしく頼むよ。厳粛な式を壊すことなく頑張ってくれたまえ」
「幸か不幸か、昨年も同じように参加しておりますから大丈夫です。ではこれで」
これ以上気分が悪くなるような会話をしている必要もない、と僕は話を強引に切って。
くるりと踵を返し、部屋を後にした。
もやもやする気持ちを抱えつつ教室へ戻ると、普段自分の教室内では見る事のないふわふわの髪。
そしてその横には、ピンク色の頭も。
「あ、終わったか?お疲れー」
「お疲れさん」
悠理がひらひら僕へ手を振り、魅録はニヤリと笑みを浮かべる。
「……悠理。魅録まで、どうしたんですか」
「決まってんじゃん、お前待ってたの」
「そういう事だ。まあ、俺は悠理の時間潰しに付き合ってただけだからな。じゃ、また明日」
悠理の頭を軽く叩き、僕に手を上げて、魅録はのんびりと教室を後にする。
その背を見送った悠理が、僕の鞄を手に近付いて来た。
「あたい達も帰ろ?あ、それともお前、まだ校長室に用事でもあんの?」
「───いいえ、そっちはもう終わらせましたよ、大丈夫です」
首を傾げる悠理に笑顔で答え、髪をそっと撫でてやると、無意識に目を細める。
愛玩される猫のような仕草が妙に似合って、僕は思わず笑みを深め。
悠理から鞄を受け取って、その細い肩を緩やかに引き寄せた。
「待っていてくれてありがとう。お礼に、ケーキでも食べに行きましょうか」
「マジ?やったぁ」
「確かこの前、気になる店があると言っていたでしょう?そこにしましょうね」
「うん!」
満面の笑みで頷く悠理の頬に、思わずキスを贈りたくなる衝動を、何とか抑え。
僕は彼女の手を握って、歩き始めた。
*
4年間の高校生活。
それは屈辱ではあったけれど、今思い返してみれば。
悠理と心通わせるために、必要な時間でもあったわけで。
口惜しいながらも、校長には、1mm程度は感謝すべきなのかもしれない。
(……絶対口には出しませんけどね)
僕は心にもない事を考えた自分に、密かに苦笑いしながら。
隣ではしゃぐ悠理を見つめ、口元が緩むのを自覚した。
(お題配布元:哀悼花様)
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当ブログへ掲載している作品は、小学生当時連載開始から読んでいた思い出の作品。数年前にちょっとだけ二次創作を綴っていましたが、いきなりブームが再燃しました。
更新ペースは超・いい加減でございますので、皆様どうぞご容赦を。